Q&A
法律Q&A
よくいただくご質問に、条文にもとづいてお答えします。全27問。

労働問題
Q.残業代の計算方法を教えてください。
1日8時間・週40時間を超えた分は25%以上、月60時間を超えた分は50%以上の割増賃金が必要です。法定休日は35%以上、深夜は25%以上です。
Q.会社が給料を払ってくれません。どうすればよいですか?
給料の未払いは労働基準法違反です。書面で請求し、払われなければ労働基準監督署への申告や労働審判を検討します。時効は当分の間3年です。
Q.産休・育休中や妊娠中の従業員を解雇・降格できますか?会社が守るべき解雇制限と不利益取扱いの禁止を経営者・人事担当者向けに解説
産休中と産休明け30日間は原則として解雇できません(労基法19条)。妊娠・出産・育休を理由とする解雇・降格などの不利益取扱いも禁止で、妊娠中と産後1年以内の解雇は、会社が妊娠等を理由としないことを証明しない限り無効です(均等法9条4項)。
Q.会社が従業員の給料を一方的に下げることはできますか?減給が無効になる場合と、適法に進めるための手順
原則としてできません。本人の同意か、合理的な就業規則の変更が必要で、どちらもない減給は無効になり、差額を請求されます。
Q.退職後の競業避止義務(同業他社への転職禁止)は有効ですか?
同業への転職禁止は2年以内かつ範囲が限定的でないと無効になります。代償措置がないと認められにくいです。
Q.会社の不正を通報した場合、報復されない保護はありますか?
会社の不正を通報した人は法律で守られ、解雇や不利益な扱いを受けません。退職者や役員も保護対象です。
Q.試用期間中や試用期間の終わりに、従業員を解雇(本採用拒否)できますか?
試用期間中でも、本採用拒否は解雇にあたり、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。14日を超えて働いている人には解雇予告か予告手当も必要です。
Q.従業員を社会保険に加入させていないと違法ですか?パート・アルバイトの加入要件(2026年10月の賃金要件撤廃後)
要件を満たす従業員を社会保険に加入させないのは違法です。2026年10月から月額8.8万円の賃金要件はなくなり、週20時間以上が基準になりました。
Q.フリーランスとして業務委託契約を結んでいますが出勤時間・場所を指定され他社の仕事を禁止されています。実質的に雇用ではないですか?
出勤時間・場所の指定と専属性の強制は「偽装フリーランス」の典型で、労働者と認められる可能性が高いです。
Q.「管理職だから残業代は出ない」は正しいですか?名ばかり管理職の判断基準を教えてください。
残業代が不要になるのは労働基準法41条2号の管理監督者に当たる場合だけで、肩書ではなく権限・勤務態様・待遇の実態で判断します。管理監督者でも深夜割増賃金と年次有給休暇は必要です。
Q.育休から復帰する従業員を元のポジションに戻さず、別の部署や倉庫整理などに配置転換してもよいですか?不利益取扱い(マタハラ・パタハラ)になる場合を人事担当者向けに解説
配置転換そのものは直ちに違法ではありませんが、育休の申出・取得を理由とする不利益な配置の変更は禁止です(育児・介護休業法10条)。厚労省の指針は原則として原職または原職相当職に復帰させるよう配慮することを求めており、通常の異動ルールで説明できない配置で相当程度の不利益を与えれば不利益取扱いに当たります。
Q.Uber Eatsなどの配達中に交通事故に遭いました。「業務委託だから労災は使えない」と言われましたが、本当ですか?
業務委託の配達員は原則として労災の対象外ですが、特別加入団体を通じて「特別加入」すれば配達中の事故は補償されます。ただし通勤中は対象外です。
Q.会社のSlackで同僚の悪口を書いたDMのスクリーンショットが社内に拡散され懲戒処分を受けました。DMは「公然性」がないのでは?
1対1のDMは「公然と」に当たらないことが多く、名誉毀損罪や侮辱罪にはなりにくいです。ただし就業規則の懲戒事由に当たれば処分はあり得ます。重すぎる処分は無効になることがあります。

企業法務
Q.取締役は個人として損害賠償責任を負いますか?会社に対する責任・取引先など第三者に対する責任と、責任を軽くする仕組みを経営者向けに解説
取締役は任務を怠って会社に損害を与えると個人で賠償責任を負い(会社法423条1項)、悪意・重過失があれば取引先など第三者にも責任を負います(会社法429条1項)。株主代表訴訟で追及されることもあります。一部免除や責任限定契約、D&O保険などで責任を軽くする仕組みもあります。
Q.株主間契約(SHA)に法的拘束力はありますか?効力が及ぶ範囲と、定款に入れるべき条項の見分け方
株主間契約は契約した株主の間では有効ですが、契約に加わっていない株主や会社には効力が及びません。守られないと困る取り決めは定款にも定めます。
Q.退職後の競業避止義務はどこまで有効ですか?就業規則・誓約書の有効性の判断基準、違反されたときの対応、外資系企業の英文書式の注意点
退職後の競業避止は、会社が守るべき利益、本人の地位、期間・地域・職種の範囲、代償措置を総合して、合理的な範囲に限って有効とされます。広すぎる約束は無効になり得るため、営業秘密の管理と秘密保持の約束を先に固めます。
Q.取引先との契約を途中で解除できますか?合意解除・解除条項・債務不履行による解除の要件と、解除前に確認すべきことを経営者・法務担当者向けに解説
合意、契約書の解除条項、相手の債務不履行による法定解除のいずれかで途中解除できます。不履行による解除は原則として催告が必要で、不履行が軽微なときはできません(民法541条)。根拠のない一方的な解除は自社の契約違反になるおそれがあります。
Q.日本で商標を登録するには?特許庁に納める費用・先に出願した者が優先されるルール・海外企業の手続を、事業者向けに解説
日本の商標権は特許庁の登録で発生し、先に出願した人が優先されます(商標法8条1項・18条1項)。特許庁に納める費用は、出願時に3,400円+1区分8,600円、登録時に1区分32,900円(10年分)です。海外企業は日本国内の代理人を通じて出願します。
Q.社員がChatGPTに社内の機密情報を入力して業務に使っていました。会社はどう対処すべきですか?個人情報保護法の報告の要否、営業秘密・取引先への影響、社員の処分と再発防止
まず入力した内容・サービス・設定を確かめます。本人の同意なく入力した個人データが学習などに使われると個人情報保護法違反のおそれがあり、規則7条の事態なら委員会への報告と本人通知が必要です。処分は就業規則の根拠と相当性を踏まえ、利用ルールの整備を急ぎます。
Q.AIで生成した画像をロゴとして商標登録しようとしたら拒否されました。AI生成物は商標登録できないのですか?
AIで生成したこと自体は拒絶理由になりません。識別力がない(3条1項)か、他人の登録商標に似ている(4条1項11号)ことが原因の可能性が高く、意見書・補正書で反論できます。
Q.SaaSを解約したのに「解約後3か月分」の料金を請求されています。利用規約のこの条項は有効ですか?
当然に有効とはいえません。消費者なら平均的な損害を超える解約金は無効、企業どうしでも定型約款の不当条項は合意がなかったものとみなされます。

不動産
Q.退去時に敷金はいくら返す(返ってくる)のですか?差し引ける費用・通常損耗・特約の有効性を貸主と借主の両方から解説
敷金は、物件の返還後に未払い賃料や借主負担の原状回復費を差し引いて返します。通常損耗は原則として貸主の負担で、借主に負わせるには明確な特約が必要です。
Q.所有・管理する物件で人が亡くなりました。次の借主や買主に告げる必要はありますか?事故物件の告知義務と国交省ガイドラインを貸主・不動産会社向けに解説
自然死や日常生活での不慮の死は原則として告知不要です。それ以外の死や特殊清掃をした場合は、相手の判断に重要な影響を及ぼすと考えられるときは告げる必要があり、賃貸では概ね3年が経てば原則不要です。聞かれたら期間にかかわらず告げます(国交省ガイドライン)。

ネット問題
Q.ネット上の誹謗中傷に対する慰謝料の相場はいくらですか?
ネットの誹謗中傷に対する慰謝料は個人で30〜100万円、法人で50〜300万円が目安です。
Q.匿名の投稿者を特定する方法はありますか?
裁判所に申し立てて、サイトとプロバイダから匿名投稿者の情報を開示させることができます。早めの対応が重要です。
Q.会社のSNS公式アカウントや業務用アカウントが乗っ取られました。法的にどう対処すればよいですか?不正アクセス禁止法と個人情報の漏えい報告を企業向けに解説
他人のID・パスワードで無断ログインする乗っ取りは不正アクセス禁止法違反(3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)です。アカウント回復・多要素認証・証拠保存・警察への相談を急ぎ、個人データが漏えいしたおそれがあれば個人情報保護委員会への報告と本人通知を検討します。
Q.Googleマップに元従業員から「この会社はブラック企業で社長がパワハラ常習犯」と星1の口コミを書かれました。削除請求と投稿者の特定は可能ですか?
裁判所への仮処分で削除でき、発信者情報開示請求で投稿者を特定して損害賠償も請求可能です。