借金・債務整理

借金・債務整理

借金・債務整理の法律知識を解説。任意整理・個人再生・自己破産の違い、手続きの流れ、費用、メリット・デメリットを比較します。過払い金請求や時効の援用、差押え対策まで幅広くカバーします。

3つの債務整理の方法

任意整理・個人再生・自己破産の3つから状況に応じて選びます。

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日本の債務整理には主に3つの方法があり、借金の総額、収入、資産状況に応じて最適な方法を選択します。

任意整理: 弁護士が債権者と直接交渉し、将来利息のカットや分割払いの条件を変更する手続きです。裁判所を通さないため、手続きが簡便で周囲に知られにくいのがメリットです。費用は1社あたり3〜5万円程度。ただし、元本の減額は原則として難しく、安定した収入があることが前提となります。

個人再生(民事再生法221条以下): 裁判所に申し立て、借金を5分の1〜10分の1に減額し、原則3年(最長5年)で分割返済する手続きです。小規模個人再生(民事再生法221条)と給与所得者等再生(民事再生法239条)の2種類があります。住宅資金特別条項(民事再生法196条)を利用すれば、住宅ローンを払い続けながら自宅を残せる場合があります。

自己破産(破産法1条): 裁判所に申し立て、免責許可(破産法252条)を得ることで借金の支払義務を免除される手続きです。同時廃止事件と管財事件があり、一定以上の財産がある場合は管財人が選任されます。自由財産(99万円以下の現金等)は手元に残せます。

過払い金請求

法定利率を超えて支払った利息を取り戻せる制度です。

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2010年6月の改正貸金業法完全施行以前、多くの消費者金融は利息制限法の上限金利(元本10万円未満: 年20%、10万円以上100万円未満: 年18%、100万円以上: 年15%)を超え、出資法の上限金利(年29.2%)までのいわゆる「グレーゾーン金利」で貸付を行っていました。

この超過分の利息は、引き直し計算により返還請求が可能です(不当利得返還請求権、民法703条・704条)。最高裁平成18年1月13日判決により、みなし弁済規定(旧貸金業法43条)の適用が厳格化され、多くの過払い金返還が認められるようになりました。

時効: 最終取引日から10年(民法166条1項2号)。取引が継続している場合は一連計算が認められる場合があります。

完済済みの場合: 信用情報機関への事故情報登録(いわゆるブラックリスト)はありません。現在返済中の場合は、引き直し計算の結果により残債が残るか過払い金が発生するかが変わります。

任意整理の詳細

弁護士が債権者と交渉し、将来利息カットや分割払いに変更します。

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任意整理は弁護士・司法書士が債権者と個別に交渉し、返済条件を変更する私的な手続きです。

手続きの流れ: 1. 弁護士に依頼 → 受任通知を各債権者に発送 2. 受任通知送付後、取立て・督促が停止(貸金業法21条1項9号) 3. 取引履歴の開示請求 → 引き直し計算 4. 和解案の提示・交渉 5. 和解成立 → 分割返済開始(通常3〜5年)

メリット: 裁判所を通さないため手続きが簡便、特定の債権者のみを対象にできる、官報に掲載されない。

デメリット: 信用情報機関に登録される(約5年間)、強制力がないため債権者が和解に応じない場合がある、元本カットは原則困難。

費用の目安: 着手金1社あたり3〜5万円、減額報酬は減額分の10%程度、過払い金返還報酬は回収額の20%程度。

個人再生の詳細

借金を5分の1〜10分の1に減額し、住宅を残せる場合もあります。

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個人再生は、裁判所の認可を受けた再生計画に基づき借金を大幅に減額する法的手続きです。

利用条件: 債務総額が5,000万円以下(住宅ローンを除く)であること、将来にわたり反復的に収入を得る見込みがあること。

最低弁済額(民事再生法231条2項): - 100万円未満: 全額 - 100万円〜500万円: 100万円 - 500万円〜1,500万円: 債務額の5分の1 - 1,500万円〜3,000万円: 300万円 - 3,000万円〜5,000万円: 債務額の10分の1

住宅資金特別条項(民事再生法196条): 住宅ローンは従来通り返済を続けることで、自宅を維持しながら他の借金を減額できます。住宅ローンの巻き戻し(期限の利益の回復)も可能です。

清算価値保障原則: 自己破産した場合に債権者が受け取れる金額以上を弁済する必要があります。

自己破産の詳細

裁判所の免責許可により全ての借金の支払義務が免除されます。

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自己破産は、支払不能の状態にある債務者が裁判所に申し立て、全ての借金の免責を受ける法的手続きです。

同時廃止事件: 破産財団が破産手続の費用にも足りない場合、破産手続開始と同時に廃止される簡易な手続き(破産法216条1項)。個人の自己破産の約7割がこの類型です。費用は1〜3万円程度(裁判所費用)。

管財事件: 一定の財産がある場合や、免責不許可事由の調査が必要な場合に管財人が選任されます。予納金は20〜50万円程度。

免責不許可事由(破産法252条1項): 浪費やギャンブルによる借金、財産の隠匿、詐術による信用取引、7年以内の再度の免責等。ただし、裁量免責(破産法252条2項)により、免責不許可事由があっても裁判所の裁量で免責が許可される場合が多いです。

非免責債権(破産法253条1項): 税金、養育費、悪意の不法行為に基づく損害賠償等は免責されません。

資格制限: 破産手続開始決定から免責確定まで、弁護士、税理士、保険募集人、警備員、宅地建物取引士等の職業に就けません。

借金の消滅時効と援用

一定期間経過後に時効を援用すれば支払義務を免れることができます。

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借金にも消滅時効があり、一定期間が経過すると法的な支払義務を免れることができます。

時効期間(民法166条1項): - 2020年4月1日以降の借入: 権利行使可能時から5年(主観的起算点)、または権利行使可能時から10年(客観的起算点) - 2020年3月31日以前の借入: 商事債権は5年(旧商法522条)、民事債権は10年

時効の援用: 時効期間が経過しただけでは借金は消滅せず、「時効を援用する」という意思表示が必要です(民法145条)。内容証明郵便で通知するのが一般的です。

時効の完成猶予・更新(民法147-152条): 裁判上の請求、差押え、仮差押え、債務の承認(一部弁済や支払猶予の申入れ等)があると、時効は更新(リセット)されます。

注意点: 長期間放置された借金について突然督促状が届いた場合、安易に「払います」と回答すると時効が更新されるおそれがあります。まず弁護士に相談することが重要です。

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項目条文概要
個人再生民事再生法221条個人債務者の再生手続
住宅資金特別条項民事再生法196条住宅ローンを維持しながら他の債務を減額
免責許可破産法252条破産者の免責許可の要件と免責不許可事由
非免責債権破産法253条税金・養育費等は免責されない
利息制限法利息制限法1条利息の上限(15-20%)
消滅時効民法166条債権の消滅時効期間
時効の援用民法145条時効は援用しなければ効力を生じない

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よくある質問

自己破産すると何ができなくなりますか?
一定期間(5〜10年)新たな借入やクレジットカードの作成ができなくなります。一部の職業(保険募集人、警備員、宅地建物取引士等)に一時的に就けなくなりますが、免責確定後は制限が解除されます。自宅は原則として処分対象ですが、自由財産として99万円までの財産は残せます。戸籍や住民票に記載されることはありません。
任意整理と個人再生の違いは何ですか?
任意整理は裁判所を通さず弁護士が債権者と直接交渉する私的手続きで、主に将来利息のカットと分割払いの条件変更を行います。個人再生は裁判所の手続きで、借金の元本自体を5分の1〜10分の1に減額できます。住宅ローンがあり自宅を残したい場合は、住宅資金特別条項が使える個人再生が有利です。
家族に知られずに債務整理できますか?
任意整理であれば、裁判所を通さないため官報に掲載されず、比較的知られにくい方法です。弁護士からの連絡方法も配慮してもらえます。ただし、個人再生や自己破産は官報に掲載され、また家計の収支を提出する必要があるため、完全に秘密にするのは困難な場合があります。
借金の時効は何年ですか?
2020年4月1日以降の借入は、権利行使可能であることを知った時から5年です(民法166条1項1号)。それ以前の借入は、消費者金融等の商事債権が5年、個人間の貸借等の民事債権が10年です。時効期間が経過しても自動的には消滅せず、時効の援用(意思表示)が必要です。一部でも返済すると時効が更新(リセット)されるので注意してください。
過払い金はまだ請求できますか?
最終取引日から10年以内であれば請求可能です。2010年以前に消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用していた方は、過払い金が発生している可能性があります。完済済みの場合は信用情報に影響しません。ただし、貸金業者の経営破綻により回収が困難になっているケースも増えています。
債務整理をすると賃貸契約に影響しますか?
信用情報機関に登録されると、信販系の家賃保証会社の審査に通りにくくなります。ただし、公的機関や独立系の保証会社は信用情報を参照しないため、賃貸契約自体が不可能になるわけではありません。既存の賃貸契約は債務整理を理由に解除されることはありません。

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※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

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