原則: 配偶者の借金に返済義務はない
日本の民法は別産制(法762条)を採用しており、婚姻中でも各配偶者の財産は独立しています。したがって、配偶者が個人名義で作った借金を他方が返済する義務は原則としてありません。
例外: 日常家事債務(民法761条)
日常の家事に関する法律行為から生じた債務については、夫婦が連帯して責任を負います。
日常家事に含まれるもの
- 食料品・日用品の購入
- 家賃・水道光熱費の支払い
- 子供の教育費・医療費
- 家族の通常の衣服・家具
日常家事に含まれないもの
- 不動産の購入・売却
- 一方の事業のための借入
- 高額な投資・投機
- ギャンブルによる借金
連帯保証人になっている場合
配偶者が連帯保証人として署名している場合は、保証契約(民法446条)に基づき返済義務を負います。2020年改正により事業用融資の個人保証には公正証書が必要です(法465条の6)。
離婚時の借金の取扱い
財産分与(民法768条)
- マイナスの財産(借金)は原則として財産分与の対象外
- ただし住宅ローンなど共同生活のための債務は実質的に考慮される
離婚しても返済義務は消えない
- 連帯保証人の地位は離婚によって自動的に解消されない
- 債権者の同意がなければ連帯保証を外れることは困難
根拠条文
- 民法761条(日常家事代理権と連帯責任)
- 民法762条(夫婦別産制)
- 民法768条(財産分与)
- 民法446条(保証契約の書面性)