企業法務の全記事を見る最終更新: 2026-03-30

著作権侵害への対処法|差止請求・損害賠償の手続きと実務

この記事のポイント

  • 著作権侵害の成立には「依拠性」と「類似性」の両方が必要
  • 差止請求は著作権法112条、損害賠償は民法709条が根拠
  • 損害額は114条の推定規定を活用することで立証負担を軽減できる
  • 刑事罰(10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金)も選択肢

著作権侵害が成立する要件

著作権侵害が成立するには、以下の2要件を満たす必要があります。

1. 依拠性

侵害者が著作物に接して、それをもとに制作したこと(単なる偶然の一致は侵害にならない)。

2. 類似性

侵害物が著作物と表現上本質的に同一または類似していること。アイデアは著作権で保護されず、表現のみが保護対象です(著作権法2条1項1号)

差止請求(著作権法112条)

著作権者は、侵害行為の差止めと侵害物の廃棄・除去を請求できます。差止請求は過失不要であり、侵害の事実のみで認められます。

仮処分による緊急対応

侵害が継続している場合、本訴提起前に仮処分(民事保全法23条)を申立て、緊急に侵害行為を止めることが可能です。サイト上の画像・動画の削除や、侵害品の販売差止めに活用されます。

損害賠償請求(民法709条)

損害賠償請求には故意または過失が必要です。著作権侵害の場合、著作権の存在を知っていれば原則として過失が認められます。

損害額の算定(著作権法114条)

損害の立証は困難なため、著作権法114条に以下の推定規定があります。

条項内容
114条1項侵害者の利益額を著作権者の損害額と推定
114条2項使用料相当額を損害額として請求可能
114条3項裁判所が相当損害額を認定できる(立証困難な場合)

実務上の相場(文章・画像の無断使用): - 画像1点: 数万〜数十万円 - 音楽(演奏・配信): 使用期間・規模による - ソフトウェア: 正規ライセンス料の数倍

著作者人格権侵害

著作権(財産権)とは別に、著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権・公表権)の侵害も問題となります(著作権法19〜21条)。著作者人格権は著作者本人にのみ帰属し、譲渡できません。

著作者人格権侵害に対しては、損害賠償のほか名誉回復措置(謝罪広告等)を請求できます(著作権法115条)

刑事責任

著作権侵害は親告罪(一部を除く)ですが、刑事罰も規定されています(著作権法119条)

  • 著作権侵害: 10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(またはその両方)
  • 法人の場合: 3億円以下の罰金(著作権法124条)

実務上の対応手順

Step 1: 証拠の保全

侵害サイトのスクリーンショット、URL、日時を記録します。ウェブ魚拓等の第三者サービスも有効です。

Step 2: 警告書の送付

弁護士名義で内容証明郵便を送付し、侵害の停止と削除を求めます。多くの場合、この段階で解決します。

Step 3: 法的手続き

警告で解決しない場合、差止仮処分または本訴を提起します。

まとめ

著作権侵害への対処は、まず証拠保全と警告書送付が基本です。損害賠償請求では著作権法114条の推定規定を活用することで立証負担を軽減できます。侵害の悪質性が高い場合は刑事告訴も検討に値します。

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※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

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