企業法務公開: 2026-03-13/更新: 2026-11-02約7分で読めます弁護士監修済

会社設立|株式会社と合同会社の違い・設立費用・手続きを比較(2026年版)

この記事のポイント

  • ✓設立時の法定費用の最低額は、株式会社が16万5,000円(定款認証1万5,000円〜+登録免許税15万円)、合同会社が6万円(登録免許税)
  • ✓定款認証手数料は資本金に応じて3万円・4万円・5万円で、一定の要件を満たす小規模な株式会社は1万5,000円(公証人手数料令35条)
  • ✓合同会社は定款で利益配分の割合を自由に決められ(会社法622条)、決算公告の義務もない
  • ✓外部からの出資受入れや株式の譲渡のしくみは株式会社のほうが整っている
  • ✓合同会社は組織変更で株式会社に移行できるが、債権者保護手続と登記が必要(会社法746条)

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新しく会社をつくるときの選択肢は、主に株式会社と合同会社の2つです。設立時の法定費用は、株式会社が最低でも16万5,000円(定款認証手数料と登録免許税)、合同会社が最低6万円(登録免許税)からで、合同会社のほうが安く済みます。一方、株式会社は株式による出資の受入れや株式の譲渡の仕組みが整っており、外部から資金を集める予定がある場合に向いています。合同会社は、定款で利益の分け方や業務執行の方法を柔軟に決められ、決算公告の義務もありません。

こんな場面で問題になります

  • 創業メンバー2〜3人で事業を始めるにあたり、費用を抑えつつ、将来の出資受入れにも備えたい。
  • 海外の親会社が日本に子会社を設けることになり、株式会社と合同会社のどちらにするか決める必要がある。
  • 個人事業として続けてきた事業を法人化したいが、取引先や金融機関からの見え方が気になる。
  • 共同出資者との間で、出資額と利益の分け方を変えたい事情がある。

設立費用の比較

設立時に必ずかかる法定の費用は、次のとおりです。

項目株式会社合同会社
定款の認証必要(会社法30条1項)不要
定款認証の手数料資本金100万円未満:3万円(一定の要件を満たすと1万5,000円)/100万円以上300万円未満:4万円/それ以外:5万円(公証人手数料令35条)なし
登録免許税資本金の額の1,000分の7。15万円に満たないときは15万円資本金の額の1,000分の7。6万円に満たないときは6万円(登録免許税法別表第一第24号(一)イ・ハ)
定款の印紙税紙で作成した定款の原本は4万円(印紙税法別表第一第6号)同左
資本金法律上の最低額はない同左

定款認証の手数料が1万5,000円になるのは、資本金100万円未満の株式会社で、①発起人の全員が自然人で3人以下、②発起人が設立時に発行する株式の全部を引き受ける、③取締役会を置かない、のいずれにもあてはまる場合です(公証人手数料令35条1号)。

登録免許税は資本金に比例するため、株式会社では資本金が約2,143万円を超えると15万円より高くなります。合同会社では、資本金が約857万円を超えると6万円より高くなります。このほか、定款の謄本手数料や登記事項証明書の取得費用、専門家に依頼する場合の報酬がかかります。

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会社の運営のしくみの違い

機関設計(意思決定のしくみ)

株式会社には、株主総会のほか、1人以上の取締役を置かなければなりません(会社法326条1項)。取締役会や監査役は、定款で定めて置くことができる機関で(同条2項)、公開会社でない会社では置かないこともできます。公開会社などは取締役会を置かなければなりません(会社法327条1項)。取締役の任期は原則2年で、株式の譲渡を制限している会社(公開会社でない株式会社)は定款で最長10年まで伸ばせます(会社法332条1項・2項)。任期が終わるたびに、再任でも役員変更の登記が必要です。

合同会社では、出資者である社員が、定款に別段の定めがない限り自ら業務を執行し、社員が2人以上いるときは過半数で業務を決定します(会社法590条)。会社法に業務執行社員の任期の定めはなく、役員の改選のための登記も生じません。社員は全員が有限責任社員です(会社法576条4項)。

利益の分け方

株式会社の剰余金の配当は、原則として株式の数に応じて行います。合同会社では、損益分配の割合を定款で自由に定めることができ、定めがないときは出資の価額に応じて分配します(会社法622条1項)。利益の配当を請求する方法なども定款で定められます(会社法621条2項)。出資額は少ないが事業への貢献が大きい人に、多くの利益を配分するといった設計ができます。

株式・持分の譲渡

株主は、株式を原則として自由に譲渡できます(会社法127条)。多くの中小企業は、譲渡に会社の承認を要する旨を定款で定めています(会社法107条1項1号)。合同会社の社員は、他の社員全員の承諾がなければ持分を譲渡できません(会社法585条1項。業務を執行しない有限責任社員は、業務執行社員全員の承諾で足ります。同条2項)。外部の投資家から出資を受け入れる場面では、株式会社のしくみのほうが使いやすいのが一般的です。

決算公告

株式会社は、定時株主総会の後、遅滞なく貸借対照表(大会社は損益計算書も)を公告しなければなりません(会社法440条1項)。合同会社には、この決算公告の義務はありません。ただし、合同会社の債権者は、営業時間内であればいつでも計算書類の閲覧などを請求できます(会社法625条)。

あとから株式会社に変えられるか

合同会社は、組織変更によって株式会社に移行できます(会社法746条)。組織変更には、組織変更計画の作成、債権者保護の手続、登記などが必要で、時間と費用がかかります。将来の上場や大規模な資金調達を見込むなら、最初から株式会社を選ぶ判断もあり得ます。

設立の手順

株式会社(発起設立)の場合、おおむね次の流れになります。

  1. 商号、目的、本店所在地、資本金、役員構成などを決め、定款を作成する(会社法26条。電磁的記録でも作成できます。同条2項)
  2. 公証人の認証を受ける(会社法30条1項)
  3. 発起人が出資金を払い込む
  4. 本店所在地を管轄する法務局で設立の登記を申請する。会社は登記によって成立します(会社法49条)
  5. 設立後2か月以内に、税務署へ法人設立届出書を提出する(法人税法148条)。地方税の届出も行う
  6. 常時従業員を使用する法人の事業所は、健康保険・厚生年金保険の適用事業所になります(健康保険法3条3項2号、厚生年金保険法6条1項2号)。年金事務所への届出の要否と時期は、日本年金機構の案内で確認する

合同会社は、社員になろうとする者が定款を作成し(会社法575条)、出資を履行して設立の登記を申請します。定款の認証は不要で、登記によって成立します(会社法579条)。

外国企業・外国人が日本で会社を設立する場合

海外の会社や外国人が日本で会社を設立する場合も、株式会社・合同会社の設立の手順と費用は同じです。ただし、次の点を別に確認する必要があります。

  • 外国投資家が日本の会社に出資する対内直接投資等には、外為法(外国為替及び外国貿易法)に基づく事前届出(27条1項)または事後報告(55条の5)の手続が定められています。どちらが必要か、あるいはどちらも不要かは、事業目的や出資の形態によって政令などで決まります。
  • 定款や登記の申請書類は日本語で作成します。外国にいる発起人・社員の署名などについては、法務局や公証役場の案内に従って証明書類を用意します。
  • 日本で事業を営むための在留資格は、会社の設立とは別に審査されます。出資額や事業所などの要件は、出入国在留管理庁の案内で確認します。

海外の親会社にとっては、日本での会社形態が本国の税務上どう扱われるかも判断材料になります。本国の税務・法務の専門家とあわせて検討するのが通例です。

今すぐできること

  • 3〜5年後の事業計画で、外部からの出資受入れや上場の可能性があるかを確認する。
  • 共同出資者がいる場合、出資額と利益配分・議決権の関係をどうしたいかを書き出す。
  • 資本金の額を決め、定款認証手数料と登録免許税の金額を確認する。
  • 許認可が必要な業種か、許認可の要件に資本金や会社形態の条件がないかを所管官庁で確認する。
  • 外国人が経営に関わる場合は、在留資格の要件を出入国在留管理庁の案内で確認する。
  • 定款の「目的」に、今後行う予定の事業まで含めて記載する。

弁護士に相談すべきタイミング

  • 共同創業者や出資者との間で、株式・持分の割合、退任時の扱い、利益配分の取決めが必要になった。
  • 投資家からの出資を受けるため、種類株式や株主間契約を検討している。
  • 海外の親会社が日本法人を設立し、本国の会社法や税務との関係で会社形態を決めたい。
  • 既存の合同会社を株式会社に組織変更したい、または事業の一部を新会社に移したい。

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よくあるご質問

Q. 株式会社と合同会社、設立費用はいくら違いますか? 法定の費用の最低額で比べると、株式会社は定款認証手数料1万5,000円〜5万円と登録免許税15万円以上、合同会社は登録免許税6万円以上です。紙の定款なら、どちらも印紙税4万円がかかります。

Q. 合同会社だと取引や採用で不利になりますか? 法律上、取引や契約の効力に違いはありません。会社法上の扱いも同じく法人で、社員は全員が有限責任です。気になる場合は、主要な取引先や金融機関に事前に確認しておくと安心です。

Q. 資本金は1円でも設立できますか? 会社法に最低資本金の定めはないため、設立は可能です。ただし、許認可や在留資格の要件、取引先・金融機関の審査で一定の資本金が求められることがあります。

Q. 合同会社から株式会社に変更できますか? 組織変更によって変更できます(会社法746条)。債権者保護の手続や登記が必要になるため、変更を予定している時期から逆算して準備します。

Q. 定款認証の手数料が1万5,000円になるのはどんな場合ですか? 資本金100万円未満の株式会社で、発起人の全員が自然人かつ3人以下、発起人が設立時発行株式の全部を引き受け、取締役会を置かない場合です(公証人手数料令35条1号)。法人が発起人になる場合や、取締役会を置く場合は対象外です。

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※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

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