企業法務の全記事を見る最終更新: 2026-03-13約3分で読めます

取締役の責任と義務|善管注意義務・忠実義務・損害賠償責任

この記事のポイント

  • 取締役は善管注意義務と忠実義務を負う
  • 義務違反は株主代表訴訟で個人的に損害賠償を請求される
  • 競業取引や利益相反取引には取締役会の承認が必要
  • 経営判断の原則で合理的な判断は保護される
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取締役の義務

善管注意義務(会社法330条、民法644条)

取締役は、会社との委任関係に基づき、善良な管理者の注意をもって職務を遂行する義務を負います。具体的には、経営判断にあたり、十分な情報収集と合理的な意思決定プロセスを経ることが求められます。

忠実義務(会社法355条)

取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、会社のため忠実にその職務を行わなければなりません。判例上、忠実義務は善管注意義務と同質のものと解されています(最大判昭和45年6月24日)。

競業避止義務(会社法356条1項1号)

取締役が会社の事業と競合する取引を行う場合、株主総会(取締役会設置会社では取締役会)の承認を得なければなりません。違反した場合、当該取引によって得た利益の額が会社の損害額と推定されます(会社法423条2項)

利益相反取引の規制(会社法356条1項2号・3号)

取締役が自己または第三者のために会社と取引を行う場合(直接取引)、会社が取締役の債務を保証する等の間接取引を行う場合、同様に承認が必要です。

取締役の損害賠償責任

会社に対する責任(会社法423条1項)

取締役がその任務を怠ったときは、会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。

第三者に対する責任(会社法429条1項)

取締役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、第三者に対しても損害賠償責任を負います。これは、取引先への支払い遅延や粉飾決算による損害等で問題となります。

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経営判断原則(Business Judgment Rule)

経営判断の結果として会社に損害が生じた場合でも、以下の要件を満たせば善管注意義務違反とはなりません:

  1. 判断の前提となる事実の認識に不注意な誤りがないこと
  2. 意思決定の過程・内容が著しく不合理でないこと

(アパマンショップ事件:最判平成22年7月15日参照)

株主代表訴訟(会社法847条)

制度の概要

6ヶ月以上前から株式を保有する株主は、会社が取締役に対する責任追及の訴えを提起しない場合、会社に代わって取締役の責任を追及する訴訟を提起できます。

手続きの流れ

  1. 会社に対し書面で提訴請求(会社法847条1項)
  2. 60日以内に会社が訴えを提起しない場合
  3. 株主が自ら訴訟を提起

費用

訴額にかかわらず、貼用印紙は13,000円(非財産的請求と同じ扱い)。

責任の免除・軽減

  • 総株主の同意による全部免除(会社法424条)
  • 株主総会の特別決議による一部免除(会社法425条)
  • 定款の定めに基づく取締役会決議による一部免除(会社法426条)
  • 責任限定契約(社外取締役等、会社法427条)
  • D&O保険(会社役員賠償責任保険、会社法430条の3)

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※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

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