【2026年12月施行】公益通報者保護法改正|内部告発者の保護が大幅強化
企業法務最終更新: 2026-04-06約3分で読めます弁護士監修済

【2026年12月施行】公益通報者保護法改正|内部告発者の保護が大幅強化

この記事のポイント

  • 2026年12月施行の改正により、内部告発者への保護が大幅に強化される
  • 従業員300人超の企業は通報対応体制の整備が義務(違反には行政措置)
  • 通報者への不利益取扱(解雇・降格・配置転換等)の禁止が強化され、立証責任が企業側に
  • 退職後1年以内の元従業員も保護対象に含まれる
この記事をシェア

改正の概要

2026年12月施行の改正公益通報者保護法(令和7年改正)は、企業不正の早期発見・是正を促進するため、内部告発者(公益通報者)の保護を大幅に強化する法改正です。

2022年の前回改正で従業員300人超の企業に通報対応体制の整備が義務付けられましたが、今回の改正ではその内容がさらに拡充されるとともに、通報者に対する不利益取扱の禁止が一層強化されます。

保護対象の拡大

従来の保護対象

  • 現役の労働者(正社員・パート・派遣等)
  • 取引先の労働者

改正後に追加される保護対象

対象者条件
退職者退職後1年以内の元従業員
役員取締役・監査役等(一定の要件あり)
フリーランス・個人事業者継続的な取引関係にある者

この記事に関連する無料ツール

契約書リスクチェッカー

この記事の分野に関連する無料シミュレーターをお試しください。

無料で試す →

企業の通報対応体制整備義務

従業員300人超の企業(義務)

以下の体制整備が法的に義務付けられます。

  • 内部通報窓口の設置: 社内または外部委託(弁護士事務所等)
  • 通報対応の担当者の指定: 独立性・公正性を確保
  • 通報者情報の守秘義務: 通報者を特定させる情報の漏洩禁止(違反には刑事罰あり、公益通報者保護法21条:30万円以下の罰金)
  • 調査・是正措置: 通報内容の調査と必要な是正措置の実施
  • フォローアップ: 通報者への結果通知・不利益取扱の有無確認

従業員300人以下の企業(努力義務)

中小企業については努力義務とされていますが、体制整備を行うことが強く推奨されます。

不利益取扱の禁止強化

改正法の最大のポイントは、通報者に対する不利益取扱の禁止の強化です。

禁止される不利益取扱の例

  • 解雇・雇止め
  • 降格・減給
  • 不利益な配置転換
  • 退職の強要
  • 嫌がらせ・ハラスメント
  • 正当な理由のない業務上の不利益

立証責任の転換

改正法では、不利益取扱が通報を理由とするものでないことの立証責任が企業側に転換されます。従来は通報者側が「通報が理由で不利益を受けた」ことを証明する必要がありましたが、改正後は企業側が「通報とは無関係の正当な理由がある」ことを証明しなければなりません。

実務上の対応

企業が今すぐ取り組むべきこと

優先度対応事項
内部通報規程の見直し・改定
通報窓口の設置・外部委託の検討
通報対応担当者への研修
全従業員への通報制度の周知
通報者保護に関する社内規程の整備

通報者が知っておくべきこと

  • 保護要件: 不正の目的でないこと、通報内容に真実相当性があること
  • 通報先の選択: 社内窓口 → 行政機関 → 報道機関(段階的に保護要件が厳格化)
  • 証拠の保全: 通報前に関連する証拠を適切に保全しておくことが重要
  • 相談先: 消費者庁の公益通報者保護制度相談ダイヤル(03-3507-9262)

この分野の無料ツール

この記事をシェア
※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

他のホットニュース

関連記事

公益通報者保護法|内部告発した社員の法的保護と企業の義務

公益通報者保護法(2022年改正)に基づく内部告発者の法的保護を解説。保護の要件、企業の体制整備義務、通報先の選択肢。

会社設立|株式会社と合同会社の違い・費用・手続きを比較

会社設立の手続きと費用を比較。株式会社(KK)と合同会社(LLC)のメリット・デメリット、設立に必要な書類と手順を解説します。

取締役の責任と義務|善管注意義務・忠実義務・損害賠償責任

株式会社の取締役の法的責任と義務を解説。善管注意義務、忠実義務、競業避止義務、利益相反取引規制、株主代表訴訟のリスクを説明します。

労務コンプライアンスの基礎|企業が守るべき労働法規と罰則

企業が遵守すべき労働法規を網羅的に解説。労働基準法の主要規制、36協定の上限規制、同一労働同一賃金、ハラスメント防止措置義務、違反した場合の罰則と企業リスクについて説明します。

知的財産権の基礎|特許・商標・著作権の違いと保護期間

知的財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権・著作権)の概要を解説。出願手続き、保護期間、権利侵害時の救済手段、中小企業が活用できる支援制度について説明します。

株主総会の手続き|招集から決議までの流れと注意点

株主総会の招集手続き、決議要件(普通決議・特別決議・特殊決議)、議事録の作成、株主提案権、総会決議の瑕疵(取消し・無効・不存在)について解説します。

関連するQ&A

おすすめの関連記事

企業法務

会社設立|株式会社と合同会社の違い・費用・手続きを比較

会社設立の手続きと費用を比較。株式会社(KK)と合同会社(LLC)のメリット・デメリット、設立に必要な書類と手順を解説します。

記事を読む
企業法務

取締役の責任と義務|善管注意義務・忠実義務・損害賠償責任

株式会社の取締役の法的責任と義務を解説。善管注意義務、忠実義務、競業避止義務、利益相反取引規制、株主代表訴訟のリスクを説明します。

記事を読む
企業法務

労務コンプライアンスの基礎|企業が守るべき労働法規と罰則

企業が遵守すべき労働法規を網羅的に解説。労働基準法の主要規制、36協定の上限規制、同一労働同一賃金、ハラスメント防止措置義務、違反した場合の罰則と企業リスクについて説明します。

記事を読む
企業法務

知的財産権の基礎|特許・商標・著作権の違いと保護期間

知的財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権・著作権)の概要を解説。出願手続き、保護期間、権利侵害時の救済手段、中小企業が活用できる支援制度について説明します。

記事を読む
企業法務

株主総会の手続き|招集から決議までの流れと注意点

株主総会の招集手続き、決議要件(普通決議・特別決議・特殊決議)、議事録の作成、株主提案権、総会決議の瑕疵(取消し・無効・不存在)について解説します。

記事を読む
企業法務

事業承継の方法|親族内承継・M&A・MBOの比較と税制優遇

中小企業の事業承継の3つの方法(親族内承継・従業員承継・M&A)を比較。事業承継税制の特例措置、経営承継円滑化法、株式評価の方法、事業承継計画の策定について解説します。

記事を読む
弁護士監修記事

法律の悩み、まずは専門家に相談を

本記事の情報は一般的な解説です。個別の事情によって結論は変わります。お住まいの地域の弁護士会へ早めにご相談ください。

日弁連 法律相談ガイド