改正の概要
2026年12月施行の改正公益通報者保護法(令和7年改正)は、企業不正の早期発見・是正を促進するため、内部告発者(公益通報者)の保護を大幅に強化する法改正です。
2022年の前回改正で従業員300人超の企業に通報対応体制の整備が義務付けられましたが、今回の改正ではその内容がさらに拡充されるとともに、通報者に対する不利益取扱の禁止が一層強化されます。
保護対象の拡大
従来の保護対象
- 現役の労働者(正社員・パート・派遣等)
- 取引先の労働者
改正後に追加される保護対象
| 対象者 | 条件 |
|---|---|
| 退職者 | 退職後1年以内の元従業員 |
| 役員 | 取締役・監査役等(一定の要件あり) |
| フリーランス・個人事業者 | 継続的な取引関係にある者 |
企業の通報対応体制整備義務
従業員300人超の企業(義務)
以下の体制整備が法的に義務付けられます。
- 内部通報窓口の設置: 社内または外部委託(弁護士事務所等)
- 通報対応の担当者の指定: 独立性・公正性を確保
- 通報者情報の守秘義務: 通報者を特定させる情報の漏洩禁止(違反には刑事罰あり、公益通報者保護法21条:30万円以下の罰金)
- 調査・是正措置: 通報内容の調査と必要な是正措置の実施
- フォローアップ: 通報者への結果通知・不利益取扱の有無確認
従業員300人以下の企業(努力義務)
中小企業については努力義務とされていますが、体制整備を行うことが強く推奨されます。
不利益取扱の禁止強化
改正法の最大のポイントは、通報者に対する不利益取扱の禁止の強化です。
禁止される不利益取扱の例
- 解雇・雇止め
- 降格・減給
- 不利益な配置転換
- 退職の強要
- 嫌がらせ・ハラスメント
- 正当な理由のない業務上の不利益
立証責任の転換
改正法では、不利益取扱が通報を理由とするものでないことの立証責任が企業側に転換されます。従来は通報者側が「通報が理由で不利益を受けた」ことを証明する必要がありましたが、改正後は企業側が「通報とは無関係の正当な理由がある」ことを証明しなければなりません。
実務上の対応
企業が今すぐ取り組むべきこと
| 優先度 | 対応事項 |
|---|---|
| 高 | 内部通報規程の見直し・改定 |
| 高 | 通報窓口の設置・外部委託の検討 |
| 中 | 通報対応担当者への研修 |
| 中 | 全従業員への通報制度の周知 |
| 中 | 通報者保護に関する社内規程の整備 |
通報者が知っておくべきこと
- 保護要件: 不正の目的でないこと、通報内容に真実相当性があること
- 通報先の選択: 社内窓口 → 行政機関 → 報道機関(段階的に保護要件が厳格化)
- 証拠の保全: 通報前に関連する証拠を適切に保全しておくことが重要
- 相談先: 消費者庁の公益通報者保護制度相談ダイヤル(03-3507-9262)