企業法務最終更新: 2026-10-31約6分で読めます公表情報の要約

公正取引委員会が日工に勧告|下請事業者16名への代金から計1,712万円余を「値引き」名目で減額(2026年10月30日)

この記事は、官公庁が公表した内容と条文をもとに当事務所が整理したものです。 一次情報へのリンクを本文に掲載しています。個別の事案についてはご相談ください。

この記事のポイント

  • ✓公正取引委員会は2026年10月30日、株式会社日工(大阪府八尾市、資本金3,000万円)に対し、改正前の下請法7条2項に基づく勧告を行った
  • ✓公表によれば、同社は2024年12月から2025年12月までの間、下請事業者16名への代金の額から、当該額に一定率を乗じるなどして得た計1,712万8,945円を「値引き」の名目で差し引いた
  • ✓違反法条は改正前の下請法4条1項3号(下請代金の減額の禁止)。現行の取適法では5条1項3号が同じ趣旨の規定
  • ✓同社は2026年10月5日、減じた額の全部(計1,712万8,945円)を16名に支払った
  • ✓公表資料の概要図は、同社が約20年前に支払手段を手形払から現金払に変更した際に減額を始めたと説明している
  • ✓勧告は、今後減額をしないことを取締役会の決議で確認すること、発注担当者への取適法の研修などの社内体制の整備、役員・従業員への周知、取引先への通知、公正取引委員会への報告を求めている

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公正取引委員会は2026年10月30日、株式会社日工に対し、改正前の下請法7条2項の規定に基づく勧告を行ったと公表しました。下請事業者に支払う代金から「値引き」の名目で一定額を差し引いたことが、下請代金の減額の禁止に違反するとされた事案です。

このページは、公正取引委員会の報道発表ページと、添付の公表文・勧告の概要・参照条文・勧告書の内容を整理したものです。

勧告の概要

項目内容
公表日2026年(令和8年)10月30日
公表者公正取引委員会
対象株式会社日工(本店所在地:大阪府八尾市)
事業の概要建設機械、自動車、発電設備等に使用されるボルト等の製造販売
資本金3,000万円
勧告の根拠改正前の下請法7条2項(改正法附則2条2項によりなお従前の例によるもの)
違反法条改正前の下請法4条1項3号(下請代金の減額の禁止)
対象となった下請事業者16名
減じた額計1,712万8,945円
減額の期間2024年(令和6年)12月から2025年(令和7年)12月まで
返金2026年(令和8年)10月5日、減じた額の全部を支払済み

違反事実の概要

勧告書の「理由」によれば、日工は、2024年11月から2025年11月までの間に、下請事業者16名に対し、自社が販売するボルト等の製造を委託しました。委託の当時、日工は資本金の額が1,000万円を超え3億円以下の法人たる事業者であり、16名は個人又は資本金の額が1,000万円以下の法人たる事業者でした。

日工は、2024年12月から2025年12月までの間、自社の利益を確保するため、委託に係る代金の額から、当該額に一定率を乗じるなどして得た額である計1,712万8,945円を「値引き」の名目で差し引いたとされています。

日工は、2026年10月5日、16名に対し、減じた額の計1,712万8,945円を支払いました。

勧告書は、日工の行為は、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じたものであり、改正前の下請法4条1項3号に掲げる行為に該当し、同項の規定に違反するものであるとしています。

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公表資料が示した経緯

公表資料の「勧告の概要」の図には、次の説明が記載されています。

  • 日工は、約20年前に、支払手段を手形払から現金払に変更した際に減額を開始した
  • 下請法においては、下請事業者の希望により一時的に手形払から現金払に変更する場合に、短期調達金利相当額を差し引いて支払うこと(金利引き)が認められていた
  • しかし、本件については、変更後、現金払を長期間継続していたため、一時的な変更には該当しない
  • 取適法においては、手形払が禁止されたことから、このような金利引きは認められていない

同じ図は、下請代金の減額について、値引き、協賛金、歩引き等の名目、方法、金額の多少を問わず、また、下請事業者との合意があっても、改正前の下請法4条1項3号違反となると説明しています。

勧告の内容

勧告書の主文は、次の5項目です。

  1. 次の事項を取締役会の決議により確認すること
  2. - 自社の利益を確保するため、下請代金の額から当該額に一定率を乗じるなどして得た額を減じた行為は、改正前の下請法4条1項3号に掲げる行為に該当し、同項の規定に違反するものであること
  3. - 今後、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、製造委託等代金の額を減じないこと
  4. 今後、製造委託等代金の額を減ずることがないよう、自社の発注担当者に対して取適法の研修を行うなど、社内体制の整備のために必要な措置を講ずること
  5. 勧告を受けたこと、勧告書(別表を除く)の内容、1及び2に基づいて採った措置を、自社の役員及び従業員に周知徹底すること
  6. 勧告を受けたこと、勧告書(別表を除く)の内容、1から3に基づいて採った措置を、取引先中小受託事業者に通知すること
  7. 1から4に基づいて採った措置を、速やかに公正取引委員会に報告すること

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条文の文言

公表資料の参照条文によれば、改正前の下請法4条1項は、親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、各号に掲げる行為をしてはならないと定め、その3号に「下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずること」を掲げています。

改正前の下請法7条2項は、公正取引委員会は、親事業者が4条1項3号から6号までに掲げる行為をしたと認めるときは、その親事業者に対し、速やかにその減じた額を支払うことその他必要な措置をとるべきことを勧告するものとする、と定めています。

現行の取適法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)では、5条1項が、委託事業者は、中小受託事業者に対し製造委託等をした場合は、各号に掲げる行為をしてはならないと定め、その3号に「中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、製造委託等代金の額を減ずること」を掲げています。

同項2号は、製造委託等代金をその支払期日の経過後なお支払わないことを掲げ、括弧書きで、当該製造委託等代金の支払について手形を交付することを含むと定めています。

勧告については、現行の取適法10条1項が、公正取引委員会は5条の規定に違反する行為があると認めるときは、違反委託事業者に対し、その減じた額を支払うべきことその他必要な措置をとるべきことを勧告するものとする、と定めています。

改正前の下請法と取適法の適用関係

公表文の注記によれば、下請代金支払遅延等防止法は、令和7年法律第41号により改正され、取適法となりました。公表文は、2025年(令和7年)12月までになされた製造委託等には改正前の下請法が適用され、2026年(令和8年)1月以降になされた製造委託等には改正後の取適法が適用されると説明しています。

公表資料では、用語の対応が次のように示されています。

改正前の下請法改正後の取適法
下請代金製造委託等代金
親事業者委託事業者
下請事業者中小受託事業者

出典

  • 公正取引委員会「(令和8年10月30日)株式会社日工に対する勧告について」https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2026/oct/261030_kinki_toriteki.html
  • 同 公表文・勧告の概要・参照条文・勧告書(PDF)https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2026/oct/261030_kinki_toriteki.pdf
  • e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(昭和31年法律第120号)https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000120

本ページは、官公庁が公表した内容と条文の文言をもとに構成しています。個別の事案について判断が必要な場合は、弁護士にご相談ください。

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