企業法務最終更新: 2026-10-25約6分で読めます公表情報の要約

公正取引委員会が王子コンテナーに勧告|下請事業者140名に印版等9,610個を無償で保管させた事案(2026年10月22日)

この記事は、官公庁が公表した内容と条文をもとに当事務所が整理したものです。 一次情報へのリンクを本文に掲載しています。個別の事案についてはご相談ください。

この記事のポイント

  • ✓公正取引委員会は2026年10月22日、王子コンテナー株式会社に対し、改正前の下請法7条3項に基づく勧告を行った(中小企業庁長官の措置請求に基づく事案)
  • ✓中小企業庁が調査を行い、2026年9月14日に中小企業庁長官が改正前の下請法6条に基づき公正取引委員会に措置請求を行った
  • ✓公表によれば、遅くとも2024年6月1日から2025年11月26日までの間、製品の発注を長期間行わないのに、下請事業者140名に計9,610個の印版・木型・金型を保管費用を負担せずに保管させた
  • ✓違反法条は改正前の下請法4条2項3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)。現行の取適法では5条2項2号が同じ文言の規定
  • ✓同社は2026年7月までに140名のうち127名に計341万355円を支払っており、勧告はこれを除いた保管費用相当額を、公正取引委員会の確認を得て速やかに支払うことなどを求めている
  • ✓2025年12月までの製造委託等には改正前の下請法が、2026年1月以降の製造委託等には取適法が適用されると公表文は説明している
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公正取引委員会は2026年10月22日、王子コンテナー株式会社に対し、改正前の下請法7条3項の規定に基づく勧告を行ったと公表しました。中小企業庁が同社を調査し、中小企業庁長官が公正取引委員会に措置請求を行った事案です。

このページは、公正取引委員会の報道発表ページと、添付の公表文・勧告書・参照条文、同日公表のリーフレットの内容を整理したものです。

勧告の概要

項目内容
公表日2026年(令和8年)10月22日
公表者公正取引委員会、中小企業庁
対象王子コンテナー株式会社(本店所在地:東京都中央区)
事業の概要段ボール製品、紙器製品等の製造販売
資本金100億円
勧告の根拠改正前の下請法7条3項(改正法附則2条2項によりなお従前の例によるもの)
措置請求2026年(令和8年)9月14日、中小企業庁長官が改正前の下請法6条に基づき公正取引委員会に措置請求
違反法条改正前の下請法4条2項3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)
対象となった下請事業者140名
保管させた印版等計9,610個(印版、木型及び金型)
期間遅くとも2024年(令和6年)6月1日から2025年(令和7年)11月26日まで
支払済みの額2026年7月までに127名へ計341万355円

違反事実の概要

公表文によれば、王子コンテナーは、下請事業者140名に対し、自社又は自社の顧客が所有する印版、木型及び金型(印版等)を貸与し、自社が製造を請け負う段ボール製品、紙器製品等の製造を委託していました。

そのうえで、遅くとも2024年6月1日から2025年11月26日までの間、印版等を用いて製造する製品の発注を長期間行わないにもかかわらず、140名に生じる計9,610個の印版等の保管に係る費用を負担することなく、140名に印版等を保管させたとされています。

勧告書の「理由」には、次の事実も記載されています。

  • 同社は、2015年(平成27年)4月から2024年(令和6年)5月までの間に、140名に段ボール製品、紙器製品等の製造を委託した
  • 委託の当時、同社は資本金の額が3億円を超える法人たる事業者であり、140名は個人又は資本金の額が3億円以下の法人たる事業者であった
  • 同社は、2025年11月26日までに、140名との間で、その後に発生する印版等の保管に係る費用の支払について合意した
  • 同社は、140名のうち127名に対し、協議を行ったうえで、2026年7月までに、2024年4月から2026年5月までの間における印版等の保管に係る費用等として計341万355円を支払っており、これは保管に係る費用に相当する額の一部の支払を含むものと認められる

勧告書は、同社の行為は、自己のために経済上の利益を提供させることにより下請事業者の利益を不当に害したものであり、改正前の下請法4条2項3号に掲げる行為に該当し、同項の規定に違反するものであるとしています。

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勧告の内容

勧告書の主文は、次の6項目です。

  1. 140名に対し、印版等を保管させたことによる費用に相当する額のうち、2026年7月までに127名に支払った計341万355円を除いた額を、公正取引委員会の確認を得たうえで速やかに支払うこと
  2. 次の事項を取締役会の決議により確認すること
  3. - 下請事業者に生じる印版等の保管に係る費用を負担することなく、下請事業者に印版等を保管させた行為は、改正前の下請法4条2項3号に掲げる行為に該当し、同項の規定に違反するものであること
  4. - 今後、自己のために経済上の利益を提供させることにより、中小受託事業者の利益を不当に害さないこと
  5. 自社の発注担当者等に対して取適法の研修を行うなど、社内体制の整備のために必要な措置を講ずること
  6. 勧告を受けたこと、勧告書(別表を除く)の内容、1から3に基づいて採った措置を、自社の役員及び従業員に周知徹底すること
  7. 勧告を受けたこと、勧告書(別表を除く)の内容、1から4に基づいて採った措置を、取引先中小受託事業者に通知すること
  8. 1から5に基づいて採った措置を、速やかに公正取引委員会に報告すること

条文の文言

公表資料の参照条文によれば、改正前の下請法4条2項は、親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、次の各号に掲げる行為をすることによって、下請事業者の利益を不当に害してはならないと定め、その3号に「自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること」を掲げています。

改正前の下請法7条3項は、公正取引委員会は、親事業者について4条2項各号のいずれかに該当する事実があると認めるときは、その親事業者に対し、速やかにその下請事業者の利益を保護するため必要な措置をとるべきことを勧告するものとする、と定めています。

現行の取適法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)では、5条2項が、委託事業者は、中小受託事業者に対し製造委託等をした場合は、次に掲げる行為をすることによって、中小受託事業者の利益を不当に害してはならないと定め、その2号に「自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること」を掲げています。

改正前の下請法と取適法の適用関係

公表文の注記によれば、下請代金支払遅延等防止法は、令和7年法律第41号により改正され、取適法となりました。公表文は、2025年(令和7年)12月までになされた製造委託等には改正前の下請法が適用され、2026年(令和8年)1月以降になされた製造委託等には改正後の取適法が適用されると説明しています。

公表資料では、用語の対応が次のように示されています。

改正前の下請法改正後の取適法
下請代金製造委託等代金
親事業者委託事業者
下請事業者中小受託事業者

同日公表のリーフレット

公正取引委員会は同日、リーフレット「中小受託事業者に印版を無償で保管させることも、取適法違反です。」を公表しました。リーフレットは、無償で保管させていた型等の例として、金型、印版、木型、治具、検具、工具、機械設備を挙げています。また、公正取引委員会と中小企業庁は、委託事業者が発注を長期間行わないにもかかわらず中小受託事業者に金型や印版などを無償で保管させるという商慣習の是正に向けて、監視を強化していると記載しています。

出典

  • 公正取引委員会「(令和8年10月22日)王子コンテナー株式会社に対する勧告について」https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2026/oct/261022_ojicontainer.html
  • 同 公表文・勧告書・参照条文(PDF)https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2026/oct/261022_ojicontainer.pdf
  • 同 リーフレット「中小受託事業者に印版を無償で保管させることも、取適法違反です。」(PDF)https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2026/oct/261022_leaflet_inbannomusyohokan.pdf
  • e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(昭和31年法律第120号)https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000120

本ページは、官公庁が公表した内容と条文の文言をもとに構成しています。個別の事案について判断が必要な場合は、弁護士にご相談ください。

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※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

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