企業法務最終更新: 2026-11-01約6分で読めます公表情報の要約

公正取引委員会がマルゼンに勧告|下請事業者385名への代金から計6,088万円余を「事務手数料及び金利」名目で減額(2026年10月29日)

この記事は、官公庁が公表した内容と条文をもとに当事務所が整理したものです。 一次情報へのリンクを本文に掲載しています。個別の事案についてはご相談ください。

この記事のポイント

  • ✓公正取引委員会は2026年10月29日、株式会社マルゼン(東京都台東区、資本金31億6,495万円)に対し、改正前の下請法7条2項に基づく勧告を行った
  • ✓公表によれば、同社は下請事業者385名に業務用厨房機器の製造・修理・運送及び設置を委託し、2025年4月から2026年1月までの間、代金の額に一定率を乗じた計6,088万8,107円を「事務手数料及び金利」の名目で差し引いた
  • ✓勧告書によれば、差し引きは、代金を現金払の方法により支払う場合に行うこととされていた
  • ✓違反法条は改正前の下請法4条1項3号(下請代金の減額の禁止)。現行の取適法では5条1項3号が同じ趣旨の規定
  • ✓同社は2026年9月25日、減じた額の全部(計6,088万8,107円)を385名に支払った
  • ✓勧告は、今後減額をしないことを取締役会の決議で確認すること、発注担当者への取適法の研修などの社内体制の整備、役員・従業員への周知、取引先への通知、公正取引委員会への報告を求めている

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公正取引委員会は2026年10月29日、株式会社マルゼンに対し、改正前の下請法7条2項の規定に基づく勧告を行ったと公表しました。下請事業者に現金で代金を支払う際に「事務手数料及び金利」の名目で一定額を差し引いたことが、下請代金の減額の禁止に違反するとされた事案です。

このページは、公正取引委員会の報道発表ページと、添付の公表文・勧告の概要・参照条文・勧告書の内容を整理したものです。

勧告の概要

項目内容
公表日2026年(令和8年)10月29日
公表者公正取引委員会
対象株式会社マルゼン(本店所在地:東京都台東区)
事業の概要業務用厨房機器の製造販売等
資本金31億6,495万円
勧告の根拠改正前の下請法7条2項(改正法附則2条2項によりなお従前の例によるもの)
違反法条改正前の下請法4条1項3号(下請代金の減額の禁止)
対象となった下請事業者385名
委託の内容業務用厨房機器の製造、修理、運送及び設置
減じた額計6,088万8,107円
減額の期間2025年(令和7年)4月から2026年(令和8年)1月まで
返金2026年(令和8年)9月25日、減じた額の全部を支払済み

違反事実の概要

勧告書の「理由」によれば、マルゼンは、2024年12月から2025年12月までの間に、下請事業者385名に対し、自社が販売し若しくは製造を請け負う業務用厨房機器の製造、自社が請け負う業務用厨房機器の修理、又は自社が請け負う業務用厨房機器の運送及び設置を委託しました。委託の当時、マルゼンは資本金の額が3億円を超える法人たる事業者であり、385名は個人又は資本金の額が3億円以下の法人たる事業者でした。

マルゼンは、下請事業者に対して現金払の方法により代金を支払う場合は、代金の額に一定率を乗じて得た額を「事務手数料及び金利」の名目で代金の額から差し引くこととしていました。そのうえで、2025年4月から2026年1月までの間、委託に係る代金の額から、当該額に一定率を乗じて得た額である計6,088万8,107円を差し引いたとされています。

マルゼンは、2026年9月25日、385名に対し、減じた額の計6,088万8,107円を支払いました。

勧告書は、マルゼンは改正前の下請法2条1項の製造委託、同条2項の修理委託及び同条4項の役務提供委託をした事業者であり、同条7項1号の親事業者に、385名は同条8項1号の下請事業者に該当するとしています。そのうえで、マルゼンの行為は、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じたものであり、改正前の下請法4条1項3号に掲げる行為に該当し、同項の規定に違反するものであるとしています。

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公表資料の説明

公表資料の「勧告の概要」は、下請法は受注者に責任がないのに発注時に定められた代金の額を減じることを禁止していると説明し、同じ行為は取適法でも禁止されていると記載しています。

勧告の内容

勧告書の主文は、次の5項目です。

  1. 次の事項を取締役会の決議により確認すること
  2. - 下請代金を現金払の方法により支払う場合に、下請代金の額から「事務手数料及び金利」の額を減じた行為は、改正前の下請法4条1項3号に掲げる行為に該当し、同項の規定に違反するものであること
  3. - 今後、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、製造委託等代金の額を減じないこと
  4. 今後、製造委託等代金の額を減ずることがないよう、自社の発注担当者に対して取適法の研修を行うなど、社内体制の整備のために必要な措置を講ずること
  5. 勧告を受けたこと、勧告書(別表を除く)の内容、1及び2に基づいて採った措置を、自社の役員及び従業員に周知徹底すること
  6. 勧告を受けたこと、勧告書(別表を除く)の内容、1から3に基づいて採った措置を、取引先中小受託事業者に通知すること
  7. 1から4に基づいて採った措置を、速やかに公正取引委員会に報告すること

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条文の文言

公表資料の参照条文によれば、改正前の下請法4条1項は、親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、各号に掲げる行為をしてはならないと定め、その3号に「下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずること」を掲げています。

改正前の下請法7条2項は、公正取引委員会は、親事業者が4条1項3号から6号までに掲げる行為をしたと認めるときは、その親事業者に対し、速やかにその減じた額を支払うことその他必要な措置をとるべきことを勧告するものとする、と定めています。

現行の取適法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)では、5条1項が、委託事業者は、中小受託事業者に対し製造委託等をした場合は、各号に掲げる行為をしてはならないと定め、その3号に「中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、製造委託等代金の額を減ずること」を掲げています。

同項2号は、製造委託等代金をその支払期日の経過後なお支払わないことを掲げ、括弧書きで、当該製造委託等代金の支払について手形を交付することを含むと定めています。

勧告については、現行の取適法10条1項が、公正取引委員会は5条の規定に違反する行為があると認めるときは、違反委託事業者に対し、その減じた額を支払うべきことその他必要な措置をとるべきことを勧告するものとする、と定めています。

改正前の下請法と取適法の適用関係

公表文の注記によれば、下請代金支払遅延等防止法は、令和7年法律第41号により改正され、取適法となりました。公表文は、2025年(令和7年)12月までになされた製造委託等には改正前の下請法が適用され、2026年(令和8年)1月以降になされた製造委託等には改正後の取適法が適用されると説明しています。

公表資料では、用語の対応が次のように示されています。

改正前の下請法改正後の取適法
下請代金製造委託等代金
親事業者委託事業者
下請事業者中小受託事業者

出典

  • 公正取引委員会「(令和8年10月29日)株式会社マルゼンに対する勧告について」https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2026/oct/261029_maruzenn.html
  • 同 公表文・勧告の概要・参照条文・勧告書(PDF)https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2026/oct/261029_maruzenn.pdf
  • e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(昭和31年法律第120号)https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000120

本ページは、官公庁が公表した内容と条文の文言をもとに構成しています。個別の事案について判断が必要な場合は、弁護士にご相談ください。

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