労働問題の全記事を見る最終更新: 2026-03-13

パワハラ防止法|企業の義務と被害者が取れる法的手段

この記事のポイント

  • 2020年からパワハラ防止措置が全企業に義務化されている
  • 相談窓口の設置と適切な対応体制が企業に求められる
  • パワハラが原因のうつ病は労災認定される可能性がある
  • 企業が対策を怠ると安全配慮義務違反で損害賠償責任を負う

パワハラの法的定義

2020年6月施行の改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)30条の2により、パワハラは以下の3要素をすべて満たすものと定義されています。

  1. 優越的な関係を背景とした言動: 上司から部下、先輩から後輩等
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの: 業務指導の域を逸脱
  3. 労働者の就業環境が害されるもの: 身体的・精神的苦痛により就業が困難

パワハラの6類型(厚労省指針)

  1. 身体的な攻撃: 殴打、足蹴り、物を投げつける
  2. 精神的な攻撃: 人格否定、長時間の叱責、他の労働者の前での侮辱
  3. 人間関係からの切り離し: 仲間外し、無視、別室への隔離
  4. 過大な要求: 到底達成不可能なノルマ、業務に無関係な私用の強要
  5. 過小な要求: 能力に見合わない仕事、仕事を与えない
  6. 個の侵害: プライベートへの過度な介入、私的な情報の暴露

企業の義務(法30条の2第1項)

すべての事業主に以下の措置義務が課されています。

具体的な措置

  1. 方針の明確化と周知: パワハラ禁止の社内方針策定、就業規則への明記
  2. 相談窓口の設置: 相談担当者の配置、外部相談窓口の活用
  3. 事後の迅速な対応: 事実確認、被害者の配慮、行為者への措置
  4. プライバシー保護: 相談者のプライバシー保護、不利益取扱いの禁止

義務違反の効果

  • 厚生労働大臣による助言・指導・勧告(法33条)
  • 勧告に従わない場合は企業名の公表(法33条2項)

被害者の救済方法

1. 社内相談窓口の利用

まず社内の相談窓口や人事部門に相談。

2. 労働局への相談

都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談。助言・指導、あっせんの制度あり。

3. 労災認定

パワハラによる精神障害は労災の対象(精神障害の労災認定基準)。2023年改正で「パワーハラスメント」が独立の認定項目に。

4. 損害賠償請求

  • 行為者に対する不法行為(民法709条)
  • 使用者(会社)に対する使用者責任(民法715条)
  • 会社の安全配慮義務違反(労働契約法5条、民法415条)

根拠条文

  • 労働施策総合推進法30条の2(パワハラ防止措置)
  • 民法709条(不法行為)、715条(使用者責任)
  • 労働契約法5条(安全配慮義務)
※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

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