遺言書の種類
日本の民法では、普通方式の遺言として3つの種類が定められています。
1. 自筆証書遺言(民法968条)
遺言者が自ら書く遺言書です。
要件: - 遺言者が全文を自書すること(ただし2019年改正により、財産目録は自書でなくてもよい) - 日付を自書すること(「令和○年○月吉日」は無効) - 氏名を自書すること - 押印すること
メリット: 費用がかからない、いつでも作成可能、秘密にできる デメリット: 形式不備で無効になるリスク、紛失・改ざんのおそれ、家庭裁判所での検認が必要
2019年改正のポイント
- 財産目録はパソコンでの作成、通帳のコピー等でも可(各ページに署名・押印が必要)
- 法務局保管制度(2020年7月開始): 自筆証書遺言を法務局で保管でき、紛失・改ざん防止、検認不要
2. 公正証書遺言(民法969条)
公証人が作成する遺言書です。最も確実な方法。
要件: - 証人2人以上の立会い - 遺言者が公証人に遺言の趣旨を口授 - 公証人がこれを筆記し、遺言者及び証人に読み聞かせ - 遺言者・証人・公証人が署名押印
メリット: 形式不備で無効になるリスクがない、原本が公証役場で保管、検認不要 デメリット: 公証人手数料がかかる、証人2名が必要
公証人手数料:
| 遺言の目的の価額 | 手数料 |
|---|---|
| 100万円以下 | 5,000円 |
| 200万円以下 | 7,000円 |
| 500万円以下 | 11,000円 |
| 1,000万円以下 | 17,000円 |
| 3,000万円以下 | 23,000円 |
| 5,000万円以下 | 29,000円 |
| 1億円以下 | 43,000円 |
3. 秘密証書遺言(民法970条)
内容を秘密にしたまま存在のみを公証する遺言書。実務上はほとんど利用されません。
遺言書で指定できること
- 相続分の指定(民法902条): 法定相続分と異なる割合の指定
- 遺産分割方法の指定(民法908条): 特定の財産を特定の相続人に
- 遺贈(民法964条): 相続人以外の者への財産の譲渡
- 遺言執行者の指定(民法1006条): 遺言内容を実行する者の指定
- 認知(民法781条2項): 婚外子の認知
- 相続人の廃除(民法893条)
遺留分に注意
遺言で自由に財産を処分できますが、遺留分(民法1042条)は侵害できません。遺留分を侵害する遺言も有効ですが、遺留分権利者は遺留分侵害額請求(民法1046条)をすることができます。
- 配偶者・子の遺留分: 法定相続分の2分の1
- 直系尊属のみの場合: 法定相続分の3分の1