相続の全記事を見る最終更新: 2026-03-13約2分で読めます

相続人の廃除と遺留分|特定の相続人に財産を渡さない方法

この記事のポイント

  • 相続人廃除は家庭裁判所の審判が必要で簡単ではない
  • 遺言で全財産を他の人に渡しても遺留分は請求される可能性がある
  • 相続欠格は殺人や遺言偽造など重大な事由に限られる
  • 遺留分侵害額請求の期限は相続開始を知ってから1年
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特定の相続人に財産を渡さない方法

1. 相続人の廃除(民法892条)

被相続人に対する虐待・重大な侮辱・著しい非行があった場合、家庭裁判所に申し立てて相続人の地位を剥奪する制度です。

#### 廃除の方法 - 生前廃除: 被相続人が生前に家庭裁判所に申立て - 遺言廃除(法893条): 遺言で廃除の意思を表示し、遺言執行者が申立て

#### 廃除が認められる要件 裁判所は厳格に判断し、認められるケースは多くありません。 - 長期にわたるDV・暴力 - 被相続人の財産の浪費・窃取 - 犯罪行為による家族の名誉毀損 - 被相続人の療養看護の拒否(著しい場合)

2. 遺言による指定

「Aにすべての財産を相続させる」という遺言を作成することで、特定の相続人の取得分をゼロにすることは可能です。ただし遺留分の制約を受けます。

3. 相続欠格(民法891条)

以下に該当する場合、法律上当然に相続権を失います(裁判所の手続不要)。 - 被相続人を殺害又は殺害しようとした - 被相続人の殺害を知って告発・告訴しなかった - 遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した

遺留分の壁

遺留分とは(民法1042条)

兄弟姉妹以外の相続人に保障された最低限の相続分です。

遺留分の割合

  • 配偶者・子: 法定相続分の1/2
  • 直系尊属のみ: 法定相続分の1/3
  • 兄弟姉妹: 遺留分なし

遺留分侵害額請求(民法1046条)

遺留分を侵害された相続人は、受遺者・受贈者に対して金銭の支払いを請求できます(2019年改正で金銭債権に一元化)。

#### 請求期限 - 相続開始及び遺留分侵害を知った時から1年 - 相続開始から10年(客観的期間)

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実務上のポイント

  1. 兄弟姉妹には遺留分がない: 兄弟姉妹に相続させたくない場合は遺言で解決可能
  2. 廃除は認められにくい: 単なる不仲や疎遠では不十分
  3. 生前贈与の活用: 生前に財産を移転(ただし特別受益として持戻しの可能性)
  4. 家族信託の検討: 信託を活用した財産承継

根拠条文

  • 民法891条(相続欠格)、892条(廃除)、893条(遺言廃除)
  • 民法1042条(遺留分の割合)、1046条(遺留分侵害額請求)
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※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

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