【2026年4月施行】女性活躍推進法改正|男女賃金格差の公表義務が101人以上企業に拡大
労働問題約5分で読めます弁護士確認前

【2026年4月施行】女性活躍推進法改正|男女賃金格差の公表義務が101人以上企業に拡大

この記事のポイント

  • ✓男女間賃金差異と女性管理職比率の公表義務が従業員101人以上の企業に拡大(2026年4月施行)
  • ✓公表は全労働者・正規雇用・非正規雇用の3区分で行い、事業年度終了後おおむね3か月以内に実施
  • ✓女性活躍推進法の有効期限が2036年3月末まで10年間延長された
  • ✓就活セクハラ防止が事業主の措置義務に追加される(2026年10月1日施行)
この記事をシェア

改正の背景

日本の男女間賃金格差は、主要先進国の中でも依然として大きく、OECD加盟国の平均を上回る水準にあります。政府は格差解消に向けて段階的に法制度を強化しており、2022年には従業員301人以上の企業に男女間賃金差異の公表を義務付けました。

しかし、従業員101人〜300人の中堅企業は男女間賃金差異の公表義務の対象外であり、全体の格差解消が進まない要因のひとつとされてきました。こうした課題を受け、2025年6月に改正女性活躍推進法が公布され、2026年4月1日から施行されています。

改正のポイント

1. 情報公表義務の拡大

改正の最大のポイントは、男女間賃金差異と女性管理職比率の公表義務の対象拡大です。

企業規模改正前改正後
301人以上男女間賃金差異の公表義務あり男女間賃金差異+女性管理職比率の公表義務
101人〜300人2区分のいずれか一方から1項目以上の公表義務(男女間賃金差異の公表義務なし)男女間賃金差異+女性管理職比率の公表義務(新設)
100人以下努力義務努力義務(変更なし)

2. 法律の有効期限延長

女性活躍推進法は当初、2026年3月末までの時限立法でした。今回の改正により、有効期限が2036年3月末まで10年間延長されました。延長の理由として、出産・育児期の就業継続では一定の成果が見られる一方、女性管理職比率や賃金格差などの課題が依然として解消されていないことが挙げられています。

3. 健康課題への配慮

生理、更年期、不妊治療といった女性特有の健康課題への配慮が、法律の基本原則に追加されました。また、これらに積極的に取り組む企業を評価する新認定制度として「えるぼしプラス」「プラチナえるぼしプラス」が2026年4月から開始されています。

この記事に関連する無料ツール

残業代計算ツール

この記事の分野に関連する無料シミュレーターをお試しください。

無料で試す →

男女間賃金差異の算出方法

公表が義務づけられる男女間賃金差異は、以下の方法で算出します。

算出式

男女間賃金差異(%) = 女性の平均年間賃金 ÷ 男性の平均年間賃金 × 100

公表の区分

区分対象者
全労働者正規・非正規を含む全従業員
正規雇用労働者正社員・無期雇用フルタイム
非正規雇用労働者パート・有期雇用・派遣等

注記すべき事項

  • 対象期間(事業年度)
  • 賃金の範囲(基本給・賞与・手当の含有範囲)
  • 対象労働者の範囲
  • その他補足説明(短時間労働者の換算方法など)

公表期限

施行後に最初に終了する事業年度の実績を、その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表する必要があります。多くの企業(3月決算)では、2027年6月頃が最初の公表期限となる見込みです。

一般事業主行動計画

従業員101人以上の企業は、一般事業主行動計画の策定・届出も義務です。行動計画には以下を盛り込む必要があります。

  • 計画期間: 2〜5年間
  • 数値目標: 女性採用比率、管理職比率、男女賃金差異の改善目標など
  • 取組内容: 目標達成のための具体的施策
  • 公表: 自社ホームページや厚労省「女性の活躍推進企業データベース」で公表

就活セクハラ防止の義務化

今回の一連の法改正では、就活セクハラ(求職者等に対するセクシュアルハラスメント)の防止が事業主の措置義務に追加されます(労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法の改正、2026年10月1日施行)。

企業に求められる措置

措置内容詳細
方針の明確化就活セクハラを行ってはならない旨の方針策定・周知
相談窓口の設置求職者・インターン生からの相談に対応できる体制整備
事後対応事案発生時の迅速かつ適切な対応(事実確認・行為者への措置)
プライバシー保護相談者・通報者の個人情報の適切な管理

違反した場合のリスク

行政指導・勧告・公表

情報公表義務に違反した企業には、厚生労働大臣による報告徴収・助言・指導・勧告が行われます。勧告に従わない場合、企業名の公表という制裁措置があり、企業の採用活動やブランドイメージに大きな影響を及ぼす可能性があります。

虚偽報告への罰則

報告徴収に対して虚偽の報告を行った場合、20万円以下の過料が科されます。

企業が今すぐ取り組むべきこと

対応チェックリスト

優先度対応事項期限目安
高男女間賃金差異の算出・集計体制の構築2026年度中
高女性管理職比率のデータ整備2026年度中
高一般事業主行動計画の策定・届出施行日まで
中情報公表の方法・媒体の決定2026年度中
中就活セクハラ防止のための相談窓口整備2026年10月まで
低えるぼし認定の取得検討随時

従業員向けの対応

  • 賃金制度の見直し(不合理な男女間格差がないか検証)
  • 女性のキャリアアップ支援プログラムの充実
  • 管理職登用における公正な評価基準の整備
  • 育児・介護との両立支援制度の周知

法改正への対応に不安がある場合は、社会保険労務士や労働法に詳しい弁護士への相談をおすすめします。特に初めて情報公表義務の対象となる101人〜300人規模の企業は、早めの準備が重要です。

この記事をシェア
※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

他のホットニュース

関連記事

パワハラ・セクハラの証拠収集ガイド|録音・メール・日記の活用法

パワハラ・セクハラの証拠収集方法を実践的に解説。秘密録音の適法性、メール・チャットの保存方法、ハラスメント日記の書き方、医療記録の取得方法を説明します。

有給休暇の基礎知識|付与日数・取得義務・退職時の消化

年次有給休暇の付与条件・日数・時季指定義務(年5日)・退職時の消化について解説。パート・アルバイトの有給取得、使用者の時季変更権の限界についても説明します。

パワハラ防止法|企業の義務と被害者が取れる法的手段

2020年施行のパワハラ防止法(労働施策総合推進法改正)に基づくパワハラの定義、企業の防止措置義務、被害者の救済方法を解説。

会社の就業規則と副業|禁止規定の有効性と社員の権利

会社の就業規則で副業禁止と書かれていても、合理的理由がなければ無効です。就業規則の確認ポイント、副業禁止条項が違法になるケース、懲戒処分された場合の対処法を弁護士が解説。

ネット誹謗中傷の発信者情報開示請求|手続きの流れと費用を解説

匿名のネット誹謗中傷に対し、発信者情報開示請求で投稿者を特定する方法を解説。2022年改正法の新制度、手続きの流れ、注意点を条文に基づいて説明します。

リベンジポルノの法的対処法|削除請求と刑事告訴の手続き

リベンジポルノ被害への法的対処法を解説。私事性的画像記録法に基づく削除請求、刑事告訴、損害賠償請求の手続きと相談窓口を説明します。

関連するQ&A

おすすめの関連記事

初回30分 無料相談

当事務所に無料相談する

初回相談無料。秘密厳守。早期相談で取り得る選択肢が広がります。

相談予約