物損事故で請求できる損害
物損事故(人身被害がない事故)では、以下の損害を請求できます(民法709条)。
1. 修理費
車両の修理に要する費用。ただし、修理費が車両の時価額を超える場合は全損として扱われ、時価額が上限となります(経済的全損)。
2. 代車費用
修理期間中の代車(レンタカー)費用を請求できます。ただし: - 代車の必要性(他に使用できる車がある場合は認められにくい) - 代車のグレード(被害車両と同等クラスまで) - 修理に必要な相当期間(通常2〜4週間)
3. 評価損(格落ち損)
修理後も車両の価値が低下する場合、その差額を評価損として請求できます。
| 評価損が認められやすいケース | 認められにくいケース |
|---|---|
| 新車・高年式車 | 低年式車(5年以上) |
| 骨格部分の損傷・修理 | 外装のみの軽微な修理 |
| 走行距離が少ない | 走行距離が多い |
一般的な評価損の算定方法: - 修理費の10〜30%程度が認められるケースが多い
4. 休車損害
営業用車両の場合、修理期間中の逸失利益(休車損害)を請求できます。
5. その他
- レッカー代
- 廃車費用(全損の場合)
- 買替諸費用(登録費用、自動車取得税等)
過失割合の影響
物損事故でも過失相殺(民法722条2項)が適用されます。
例: 損害額100万円、自身の過失20%の場合 → 請求できるのは80万円
物損事故の注意点
- 慰謝料は原則認められない: 物損のみでは精神的苦痛に対する慰謝料は原則として認められません(例外: ペットの死傷等)
- 人身事故への切替え: 後から痛みが出た場合、事故後早期に人身事故届出に切り替えることが重要
- 時効: 損害賠償請求権の時効は3年(民法724条1号)
少額訴訟の活用
物損事故の損害額が60万円以下の場合、少額訴訟(民事訴訟法368条)が利用可能です。原則1回の期日で判決が出るため、迅速な解決が可能です。
根拠条文
- 民法709条(不法行為)、722条2項(過失相殺)、724条(消滅時効)
- 民事訴訟法368条(少額訴訟)
- 自動車損害賠償保障法(自賠法)— 物損には適用されず民法による