ネット問題の全記事を見る最終更新: 2026-03-13約5分で読めます

ネット誹謗中傷の発信者情報開示請求|手続きの流れと費用を解説

この記事のポイント

  • ネットの誹謗中傷は法的に投稿者を特定できる
  • 2022年改正で手続きが約半年〜1年に短縮された
  • 慰謝料の相場は個人で30〜100万円程度
  • 通信ログは3〜6ヶ月で消えるため早期対応が重要
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ネット誹謗中傷とは

SNS、掲示板、口コミサイトなどで、個人や企業の社会的評価を低下させる投稿が行われることがあります。これらは法的に名誉毀損(刑法230条)侮辱(刑法231条)に該当する可能性があります。

発信者情報開示請求の概要

匿名の投稿者を法的に特定するための手続きが発信者情報開示請求です(プロバイダ責任制限法5条)

2022年改正のポイント

2022年10月施行の改正により、従来2段階だった手続きが1回の裁判手続き(発信者情報開示命令)で完了できるようになりました。

改正前: ①サイト管理者への仮処分 → ②ISPへの本訴 → 合計1〜2年 改正後: 発信者情報開示命令の申立て → 6ヶ月〜1年程度

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手続きの流れ

ステップ1: 証拠の保全

投稿のスクリーンショット、URL、投稿日時を記録します。通信ログの保存期間は通常3〜6ヶ月のため、早期の対応が重要です。

ステップ2: サイト管理者への開示請求

投稿が行われたサイトの管理者に対し、投稿者のIPアドレスとタイムスタンプの開示を求めます。

ステップ3: ISP(プロバイダ)への開示請求

取得したIPアドレスをもとに、ISPに対して契約者情報(氏名・住所)の開示を求めます。

ステップ4: 損害賠償請求

特定された投稿者に対し、慰謝料等の損害賠償を請求します。

費用の目安

項目費用
弁護士費用(開示請求)30〜50万円
弁護士費用(損害賠償請求含む)50〜100万円
裁判所への印紙代等数万円

認められる慰謝料の相場

  • 個人への誹謗中傷: 30〜100万円
  • 企業への信用毀損: 50〜300万円
  • 性的な内容を含む場合: 100〜200万円

注意点

  1. ログの保存期間: 通信ログは通常3〜6ヶ月で消去されるため、投稿を発見したら速やかに対応する必要があります
  2. 権利侵害の明白性: 開示が認められるには、投稿が権利を侵害していることが明らかである必要があります
  3. 正当な批判との区別: 事実に基づく正当な批判や意見は、名誉毀損には該当しません

根拠条文

  • プロバイダ責任制限法5条(発信者情報の開示請求)
  • 刑法230条(名誉毀損罪)
  • 刑法231条(侮辱罪)
  • 民法709条(不法行為に基づく損害賠償)

弁護士費用特約(保険)が使えるケース

弁護士費用は高額になりがちですが、弁護士費用特約(弁護士保険)に加入していれば費用の大部分をカバーできる場合があります。

利用できる保険の種類

  • 自動車保険の弁護士費用特約: 自動車保険に付帯している場合が多く、交通事故以外の法的トラブルをカバーするプランも存在します
  • 弁護士保険(単独型): 月額数千円程度の弁護士費用保険に加入している場合、ネット誹謗中傷への対応費用を補償対象とするプランがあります
  • インターネットトラブル保険: ネットトラブル(誹謗中傷・個人情報漏洩等)に特化した保険商品で、開示請求や削除請求の費用をカバーするものが登場しています

利用時の注意点

  • 保険会社によって補償対象となるトラブルの範囲が異なります
  • 保険請求のためには保険会社が指定した弁護士を利用する場合があります
  • 着手前に保険会社への事前申請が必要なケースが多いです
  • 補償限度額(通常100〜300万円)を超える費用は自己負担になります

現在加入中の保険(自動車保険・火災保険・医療保険等)の特約を確認してみると、既に弁護士費用特約が付帯している場合があります。

弁護士なしで自分で手続きできる範囲

全ての手続きに弁護士が必要なわけではありません。状況に応じて本人申請も可能です。

本人でも対応できる手続き

送信防止措置依頼(削除請求)は、本人自身で行うことができます。プロバイダ責任制限法に定められた書式(送信防止措置依頼書)に必要事項を記入し、サイト管理者に送付するだけで手続き可能です。総務省のウェブサイトには書式例が公開されており、費用をかけずに実施できます。

Google等への検索結果削除申請も本人で手続き可能です。各社の削除リクエストフォームから申請できます。

弁護士への依頼を強く推奨する手続き

以下は技術的・法的に複雑なため、弁護士への依頼を推奨します。

  • 発信者情報開示命令の申立て: 裁判所への申立書の作成・提出、相手方(プロバイダ・サイト管理者)との交渉
  • IPアドレスからの契約者情報開示: ISPへの裁判手続き(専門的な手続き知識が必要)
  • 損害賠償請求訴訟: 証拠収集・法的構成・交渉・訴訟対応

本人申請で限界を感じた場合でも、法テラス(日本司法支援センター)を利用すれば弁護士費用の立替制度を活用できます(収入要件あり)。

開示命令申立の必要書類

裁判所に発信者情報開示命令を申し立てる際は、以下の書類を準備します。

書類内容・注意点
申立書申立人の氏名・住所、相手方(サイト管理者またはISP)、開示を求める情報の特定、権利侵害の内容を記載
証拠(スクリーンショット)問題の投稿の画面キャプチャ。URL・投稿日時・ユーザー名が確認できるもの
陳述書投稿により権利を侵害されたことを申立人が説明する書面。具体的な被害(精神的苦痛、業務上の損害等)を記載
資格証明書申立人が法人の場合、商業登記簿謄本等
収入印紙申立費用(裁判所により異なりますが数千円程度)
郵便切手裁判所からの連絡用
投稿URL一覧開示対象の投稿を特定するためのURLリスト

申立の流れ

  1. 書類一式を管轄裁判所(申立人の住所地または相手方の住所地を管轄する地方裁判所)に提出
  2. 裁判所から相手方(サイト管理者等)へ審問(意見照会)
  3. 決定(認容または棄却)→ 認容されれば開示が命じられる
  4. 開示された情報を元に次のステップ(ISPへの開示請求または損害賠償請求)へ

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※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

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