消費者問題の全記事を見る最終更新: 2026-03-30

ゲームのガチャ規制|コンプガチャ禁止・景品表示法・資金決済法の解説

この記事のポイント

  • コンプガチャ(複数アイテムを揃えると特典)は2012年に景品表示法の絵合わせ禁止に該当するとして禁止された
  • ゲーム内通貨は資金決済法の「前払式支払手段」に該当し、6ヶ月ごとの未使用残高の半額相当の供託義務がある
  • 2022年のステルスマーケティング規制強化(景品表示法改正)により、ガチャ確率の不当な表示もさらに厳格に規制される

ガチャとは

ソーシャルゲームの「ガチャ」は、ゲーム内通貨を消費して、ランダムにアイテムや強化素材を獲得する仕組みです。日本の法律は複数の観点からガチャを規制しています。

コンプガチャ禁止(景品表示法)

2012年の消費者庁見解

2012年5月、消費者庁は「コンプリートガチャ」が景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)の絵合わせ禁止(3条・告示による禁止)に該当すると見解を示しました。

コンプガチャの定義: 複数種類のアイテムをすべて揃えることで、別の特定のアイテムを提供する仕組み。

絵合わせ禁止とは

景品表示法は、カードやくじを組み合わせて揃えることで景品を提供する「絵合わせ」を禁止しています(景品類等の指定告示)。コンプガチャは、複数ガチャアイテムを揃えると特典が得られる点で、絵合わせに類似すると判断されました。

現在のガチャ規制の状況

コンプガチャは禁止されましたが、単一のランダムガチャ自体は現在も適法です。ただし以下の規制が適用されます。

確率表示義務(JOGA自主規制)

日本オンラインゲーム協会(JOGA)の「ガイドライン」により、業界自主規制として以下が求められます。

要件内容
各アイテムの排出確率の表示レアリティ別・アイテム別の確率公表
確率の正確性表示確率と実際の排出率の一致
ピックアップ確率の表示特定アイテムの確率を明記

景品表示法5条(優良誤認表示): 表示した確率と実際が異なる場合、不当表示として措置命令・課徴金(売上の3%)の対象。

資金決済法とゲーム内通貨

前払式支払手段(資金決済法3条)

ゲーム内通貨(石・コイン・ジェム等)は、資金決済法の「前払式支払手段」に該当します。

要件: 金銭と引き換えに発行され、物品・サービスの対価に使用できるもの

事業者の義務

義務内容
登録または届出前払式支払手段発行業者として金融庁に届出(自家型の場合)
供託義務3月31日または9月30日時点の未使用残高の2分の1以上を法務局に供託
情報提供利用者への残高・有効期限等の情報提供

有効期限の設定

ゲーム内通貨に有効期限を設定することは資金決済法上可能ですが、消費者契約法や景品表示法の観点から、利用者への明確な告知が必要です。

未成年者への課金規制

法的な規制

法律上、未成年者(18歳未満、民法改正後は18歳・19歳の限定的制限)のゲーム課金については明示的な法律上の上限はありません。ただし、親権者の同意なく行った未成年者の契約は取り消し可能(民法5条)

業界自主規制

JOGAおよび各プラットフォーム(App Store・Google Play)は以下を定めています。

プラットフォーム未成年者課金上限(目安)
App Store月額4,000〜月額利用規制あり(年齢別)
Google Play保護者の承認設定が利用可能
JOGA ガイドライン月額5万円〜6.5万円が上限目安

親権者取消権の行使

未成年者がガチャに多額課金した場合、親権者は民法5条2項に基づき契約を取り消せる可能性があります。ただし、未成年者が自分を成人と偽った場合や親権者の追認がある場合は取消不可(民法21条)

ステルスマーケティング規制(2023年施行)

2023年10月施行の景品表示法改正により、ステルスマーケティング(隠れた広告)が規制されました。

ゲーム分野での注意点: - インフルエンサーによるガチャ動画に案件であることを明記しない行為は違反 - 「神引き動画」等が実態と異なる演出をする場合も規制対象

まとめ

ゲームのガチャ規制は、景品表示法によるコンプガチャ・確率表示規制、資金決済法によるゲーム内通貨供託義務、未成年者保護の3つの柱で構成されます。ゲーム事業者は確率の正確な開示と未成年者課金の適切な管理が求められ、ステルスマーケティング規制にも対応する必要があります。

※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

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