離婚の全記事を見る最終更新: 2026-03-13

DV被害と保護命令|配偶者暴力防止法に基づく法的保護

この記事のポイント

  • 保護命令で加害者の接近を法的に禁止できる
  • シェルターに一時避難して安全を確保できる
  • 身体的暴力だけでなく精神的暴力も対象になる
  • 違反した加害者には懲役や罰金の刑事罰がある

DV防止法の概要

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)は、2001年に施行された法律で、配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備しています。

「配偶者」の範囲

  • 法律婚の配偶者
  • 事実婚(内縁)の配偶者
  • 元配偶者(離婚後も継続する暴力に対応)
  • 2024年改正により同棲相手(生活の本拠を共にする交際相手)も対象に追加

「暴力」の範囲

  • 身体的暴力: 殴る、蹴る、物を投げる
  • 精神的暴力(モラハラ): 暴言、脅迫、無視、行動の監視
  • 性的暴力: 性行為の強要
  • 経済的暴力: 生活費を渡さない、働くことを妨害

保護命令の種類(DV防止法10条)

1. 接近禁止命令

被害者の身辺へのつきまとい、住居・勤務先等の付近の徘徊を禁止。期間は6ヶ月(2024年改正前は6ヶ月、改正後は1年に延長)。

2. 退去命令

被害者と共に生活の本拠としている住居から退去し、住居付近の徘徊を禁止。期間は2ヶ月

3. 電話等禁止命令

面会の要求、行動の監視を告げること、著しく粗野・乱暴な言動、無言電話、緊急時以外の連続した電話・メール等を禁止。

4. 子への接近禁止命令

被害者と同居する未成年の子への接近を禁止。被害者への接近禁止命令と同時に発令。

5. 親族等への接近禁止命令

被害者の親族等への接近を禁止。同様に接近禁止命令と同時に発令。

保護命令の申立て手続き

要件

  • 配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた者
  • 配偶者暴力相談支援センター又は警察に相談・保護を求めた事実があること(ない場合は公証人面前宣誓供述書で代替可)
  • さらなる暴力により生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいこと

手続きの流れ

  1. 相談: 配偶者暴力相談支援センター(各都道府県に設置)又は警察に相談
  2. 申立書の作成: 被害の具体的な状況を記載
  3. 管轄裁判所への申立て: 相手方の住所地等の地方裁判所
  4. 審尋: 裁判官が申立人の話を聞く(原則として口頭弁論又は審尋が必要)
  5. 保護命令の発令: 申立てから概ね1〜2週間程度

費用

  • 収入印紙: 1,000円
  • 弁護士費用: 法テラスの立替制度を利用可能

保護命令違反の罰則

保護命令に違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(DV防止法29条)

緊急時の対応

身の危険がある場合

  • 110番通報: 暴力が現在進行中の場合
  • 配偶者暴力相談支援センター: 各都道府県に設置、24時間対応の施設もあり
  • DV相談ナビ: #8008(はれれば)
  • DV相談プラス: 0120-279-889(24時間対応、多言語対応)

シェルター(一時保護施設)

配偶者暴力相談支援センターに相談すると、一時保護施設(シェルター)に入所できます。所在地は非公開で安全が確保されます。原則2週間の滞在が可能。

DV離婚との関連

DV被害者は、以下の離婚手続きを利用できます: - 調停離婚: 家庭裁判所での調停(DV事案では別室対応が可能) - 裁判離婚: 「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)として離婚請求 - 保護命令と並行して離婚手続きを進めることが一般的

※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

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