自動運転レベル4が日本で解禁|道路交通法改正と2026年の最新動向を弁護士が解説
交通事故最終更新: 2026-04-29約6分で読めます

自動運転レベル4が日本で解禁|道路交通法改正と2026年の最新動向を弁護士が解説

この記事のポイント

  • 2023年4月の改正道路交通法施行により、レベル4自動運転(特定自動運行)が許可制で解禁された
  • 特定自動運行には都道府県公安委員会の許可が必要で、遠隔監視者の配置が義務付けられている
  • 事故時の責任は車両保有者・特定自動運行実施者が負い、自賠法も適用される
  • 2026年時点で福井県永平寺町が全国初のレベル4無人運行を実現し、東京都内でも実証実験が進行中
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自動運転レベル4とは何か

自動運転技術は、SAE International(米国自動車技術者協会)の定義に基づき、レベル0からレベル5までの6段階に分類されます。レベル4(高度運転自動化)は、限定された条件下(ODD: 運行設計領域)において、人間の運転操作を一切必要とせずにシステムが全ての運転タスクを遂行するレベルです。

レベル名称運転主体日本での法的位置づけ
レベル1〜2運転支援人間運転者に責任(道路交通法上の「運転者」)
レベル3条件付自動運転システム(一部人間)2020年改正で対応済(道路交通法75条の2等)
レベル4高度運転自動化システム2023年改正で「特定自動運行」として制度化
レベル5完全自動運転システム未対応(法整備の議論段階)

改正道路交通法による「特定自動運行」制度

法改正の経緯

2022年4月、改正道路交通法(令和4年法律第32号)が成立し、2023年4月1日に施行されました。この改正により、道路交通法に「特定自動運行」に関する規定(第75条の12〜第75条の28)が新設されています。

特定自動運行の定義

改正道路交通法第2条第1項第17号の2において、「特定自動運行」は以下のように定義されています。

> 道路において、自動運行装置を当該自動運行装置に係る使用条件で使用して、当該自動運行装置を備えている自動車を運行すること(運転者がいる状態で行うものを除く)

つまり、レベル3と異なり車内に運転者が存在しない状態での走行を前提とした制度です。

許可制度の仕組み

特定自動運行を行うには、都道府県公安委員会の許可が必要です(道路交通法第75条の12)

項目内容
許可申請者特定自動運行を行おうとする者(事業者)
申請先運行する区域を管轄する都道府県公安委員会
主な許可要件運行経路・区域の指定、安全確保措置、遠隔監視体制の整備
遠隔監視者特定自動運行主任者の配置が義務(第75条の23)
交通事故時の措置特定自動運行実施者による通報・救護義務(第75条の24)

遠隔監視と特定自動運行主任者

レベル4では車内に運転者がいないため、遠隔監視者(特定自動運行主任者)の存在が極めて重要です。特定自動運行主任者は、車両の走行状況を遠隔で常時監視し、異常時には車両を安全に停止させる措置を講じます(道路交通法第75条の23)。なお、特定自動運行主任者には運転免許は不要ですが、公安委員会が定める講習の受講が求められます。

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道路運送車両法の改正

自動運転レベル4に対応するため、道路運送車両法も改正されています。2020年施行の改正により「自動運行装置」(同法第41条第2項)が保安基準の対象として明確化され、さらに2023年の改正道路交通法と連動して、レベル4車両の型式認証・検査基準が整備されました。

車両に搭載される自動運行装置は、国土交通大臣の型式指定を受ける必要があり、サイバーセキュリティソフトウェアアップデートへの対応も保安基準に含まれています(UN規則WP.29準拠)。

事故時の責任と自賠法の適用

民事責任

自動運転レベル4における事故の民事責任については、以下の法的枠組みが適用されます。

責任主体根拠法内容
車両保有者(運行供用者)自賠法第3条運行供用者責任(無過失に近い厳格責任)
特定自動運行実施者道路交通法第75条の24、民法第709条安全管理義務違反の不法行為責任
自動車メーカー製造物責任法(PL法)第3条自動運行装置の欠陥に基づく製造物責任

自賠法(自動車損害賠償保障法)の適用

重要な点として、自賠法はレベル4自動運転にも適用されます。自賠法第3条の「運行供用者」責任は、車両を「自己のために運行の用に供する者」に課されるものであり、自動運転車両の保有者・運行事業者がこれに該当します。

政府は自賠責保険の適用をレベル4にも拡大する方針を明確にしており、被害者救済の空白が生じないよう制度設計がなされています。なお、自動運行装置のハッキング等に起因する事故については、政府保障事業(自賠法第72条)による救済も検討されています。

刑事責任

レベル4では車内に運転者がいないため、従来の「運転者」に対する刑事責任(過失運転致死傷罪等)は直接適用されません。代わりに、特定自動運行実施者が安全管理義務を怠った場合の業務上過失致死傷罪(刑法第211条)の適用が議論されています。

2026年の実用化状況

福井県永平寺町:全国初のレベル4認可

2023年5月、福井県永平寺町の「ZENドライブ」が全国初のレベル4特定自動運行の許可を取得しました。約2kmの遊歩道区間において、時速12km以下の低速電動カートが遠隔監視のもと無人運行を行っています。2026年現在、運行実績は累計数万回に達し、重大事故の報告はありません。

東京都内での実証実験

2025年から2026年にかけて、東京都内の臨海部や特定区域において、複数の企業によるレベル4自動運転バスの実証実験が進行中です。都は2026年度中の社会実装を目指し、運行ルートの拡大と法制度面の課題整理を進めています。

その他の地域

全国各地の過疎地域や空港・港湾地区でもレベル4の実証実験が行われており、地方自治体と連携した地域交通課題の解決手段としての期待が高まっています。

完全自動運転(レベル5)に向けた課題

レベル5(完全自動運転)は、場所・条件を問わずあらゆる状況でシステムが運転する段階ですが、現行法では対応していません。今後の法整備に向けた主な課題は以下のとおりです。

課題内容
ODD(運行設計領域)の撤廃レベル5では走行区域の限定がなくなるため、許可制度の抜本的見直しが必要
責任の最終帰属メーカー・事業者・所有者間の責任配分の再整理
国際基準との調和UN/WP.29の国際規格策定への参画と国内法への反映
サイバーセキュリティ遠隔操作やハッキングリスクに対する法的対応の強化
倫理的判断の法的位置づけ事故回避時のAI判断に関するガイドラインの策定

政府は2025年に策定した「自動運転に関する制度整備大綱」に基づき、段階的な法改正を進める方針を示しています。

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*法律のミカタ編集部 | 2026年4月29日公開*

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※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

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