音楽著作権の2層構造
音楽を利用する際には、著作権と著作隣接権の2層を意識する必要があります。
著作権(著作権法10条)
| 権利者 | 権利の内容 |
|---|---|
| 作詞者 | 歌詞の著作権 |
| 作曲者 | 楽曲の著作権 |
保護期間: 著作者の死後70年(著作権法51条)
著作隣接権(著作権法89条以下)
| 権利者 | 権利の内容 |
|---|---|
| 実演家(歌手・演奏家) | 実演家の権利(録音・放送への同意権等) |
| レコード製作者(レコード会社) | 複製権・送信可能化権等 |
| 放送事業者 | 放送の複製・再放送への権利 |
保護期間: 実演・レコード発行から70年(著作権法101条)
JASRACによる一括管理
JASRACとは
一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は、作詞者・作曲者から著作権の管理を受託し、利用者への許諾と使用料の徴収・分配を行います。
管理楽曲数: 約400万曲(国内外)
JASRACの許諾なしに利用できないケース
著作物の以下の利用にはJASRAC(または権利者本人)の許諾が必要です。
| 利用形態 | 該当する権利 |
|---|---|
| 楽曲のコピー・配信 | 複製権・公衆送信権 |
| ライブ演奏・カラオケ | 演奏権(著作権法22条) |
| BGMの流用(店舗・動画) | 演奏権・公衆送信権 |
| 着信音・アプリへの組み込み | 複製権・公衆送信権 |
動画配信(YouTube・TikTok等)
JASRACとの包括契約
主要な動画プラットフォームはJASRACと包括契約を締結しているため、ユーザーがJASRAC管理楽曲を動画に使用する際、著作権(作詞・作曲)については追加許諾が不要です(使用料はプラットフォームが負担)。
対象プラットフォーム例: - YouTube(2015年〜) - TikTok(2020年〜) - ニコニコ動画(2012年〜)
著作隣接権(原盤権)は別途必要
ただし、市販のCD音源(原盤)をそのまま使う場合は著作隣接権(レコード会社の許諾)が別途必要です。
JASRAC包括契約でカバーされるのは著作権のみ。原盤使用には各レコード会社への個別申請が必要です。
カバー動画の場合
自分で演奏・歌唱した「カバー動画」は、JASRAC管理楽曲であれば著作権は包括契約でカバー。ただし、原盤音源を使用していなければ原盤権の問題は発生しません。
ライブ演奏・BGMの使用料
演奏権(著作権法22条)
JASRAC管理楽曲をライブで演奏したり、店舗のBGMとして流したりする場合は、演奏権が働き使用料の支払いが必要です。
| 利用形態 | 使用料の目安 |
|---|---|
| ライブハウス(演奏会) | 入場料・客席数による |
| 店舗BGM(有線放送利用) | 月額1,700円〜(規模による) |
| 店舗BGM(自己録音音源) | 月額3,000円〜 |
| カラオケボックス | 1曲ごとの使用料 |
申請方法
JASRACウェブサイトから利用申請が可能。事前申請が原則ですが、事後報告のケースもあります。
著作隣接権の実務的注意点
NexToneとの二社体制
JASRACの他、NexTone(エイベックス系等)も著作権管理を行っており、二社どちらが管理しているかを確認する必要があります。
原盤使用の許諾
映像制作・CMでの原盤使用は、以下の手順が必要です。
- JASRAC(またはNexTone)への著作権使用申請
- レコード会社への原盤使用申請(原盤権許諾)
- 実演家への実演許諾(必要に応じて)
まとめ
音楽利用には著作権と著作隣接権の二層をそれぞれクリアする必要があります。YouTubeやTikTokへの投稿はJASRACの包括契約で著作権部分はカバーされますが、原盤使用は別途レコード会社の許諾が必要です。ライブ演奏・店舗BGMには演奏権が及ぶため、JASRAC等への事前申請が欠かせません。