少年事件の基本原則
少年法は、少年の健全な育成を期し、非行少年に対して保護処分を行うことを目的としています(少年法1条)。成人の刑事手続きとは異なる特別な手続きが設けられています。
少年の定義
| 区分 | 年齢 | 処遇 |
|---|---|---|
| 犯罪少年 | 14歳以上20歳未満 | 家庭裁判所で審判 |
| 触法少年 | 14歳未満 | 児童相談所が対応(刑事責任能力なし、刑法41条) |
| 虞犯少年 | 20歳未満 | 将来犯罪を犯すおそれ(家裁送致) |
| 特定少年 | 18歳・19歳 | 2022年改正で新設(成人に近い扱い) |
手続きの流れ
1. 捜査・逮捕
少年でも逮捕・勾留される場合があります。ただし、勾留に代わる観護措置(少年法43条)が優先されます。
2. 家庭裁判所への送致(全件送致主義)
すべての少年事件は家庭裁判所に送致されます(少年法41条・42条)。検察官が起訴・不起訴を判断する成人事件とは異なります。
3. 調査
家庭裁判所調査官が、少年の生い立ち、家庭環境、性格、交友関係等を詳しく調査します(社会調査)。
4. 少年審判(少年法22条)
審判は非公開で行われます。少年の反省、家族の支援体制、更生の可能性等を総合的に判断します。
処分の種類
| 処分 | 内容 |
|---|---|
| 不処分 | 審判の結果、処分の必要なしと判断 |
| 保護観察 | 社会内で保護観察官・保護司の指導を受ける(少年法24条1項1号) |
| 児童自立支援施設送致 | 18歳未満の場合(24条1項2号) |
| 少年院送致 | 少年院で矯正教育を受ける(24条1項3号) |
| 検察官送致(逆送) | 刑事裁判にかけるべき場合(少年法20条) |
検察官送致(逆送)
以下の場合、家庭裁判所は事件を検察官に送致(逆送)します: - 原則逆送事件: 故意に被害者を死亡させた事件で、犯行時16歳以上(少年法20条2項) - 特定少年の原則逆送事件: 上記に加え、強盗、強制性交等、放火等の重大事件で犯行時18歳・19歳(少年法62条2項)
2022年改正: 特定少年
18歳・19歳は特定少年として、以下の特例が適用されます: 1. 原則逆送事件の拡大: 強盗、強制性交等、放火等の重大事件も対象 2. 推知報道の解禁: 逆送されて起訴された場合、実名報道が可能に(少年法68条) 3. 虞犯少年の対象外(特定少年は虞犯では送致されない)
少年事件の弁護
少年事件では、弁護士は付添人として活動します(少年法10条)。国選付添人制度もあります(少年法22条の3)。
根拠条文
- 少年法1条(目的)、20条(検察官送致)、22条(審判)、24条(保護処分)
- 少年法62条・68条(特定少年に関する特例)
- 刑法41条(刑事責任年齢)