ネット問題の全記事を見る最終更新: 2026-03-30約3分で読めます

GDPRと日本の個人情報保護法の関係|十分性認定・越境データ移転の実務

この記事のポイント

  • 2019年からEUと日本は相互十分性認定。日本企業はSCCなしにEUから個人データを受領できる
  • 日本側では「補完的ルール」として欧州経済領域(EEA)居住者のデータに追加保護が必要
  • 日本のGDPR対象企業は現地代理人の選任・DPO設置・レコードオブプロセッシング作成が求められる場合がある
  • 2022年個人情報保護法改正で越境移転の規制が強化された
この記事をシェア

GDPRとは

GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)は、EU域内の個人データを保護するEUの規則で、2018年5月に施行されました。

GDPRの特徴: - 制裁金が最大2,000万ユーロまたは全世界年間売上の4%の高い方という厳しい罰則 - 域外適用: EU居住者に財・サービスを提供する、またはEU居住者の行動を監視する企業はEU外でもGDPRの適用を受ける - 個人の権利強化(削除権・ポータビリティ権・アクセス権等)

EU-Japan相互十分性認定

概要

2019年1月、欧州委員会とPPC(個人情報保護委員会)は相互に十分性認定を行いました。

  • EU側: 日本の個人情報保護制度はGDPRと同等の保護水準を有すると認定
  • 日本側: EUのデータ保護制度は「個人の権利利益の保護」に支障をきたすおそれがない第三国として認定

この結果、日本企業はEUから個人データを受領する際に、標準契約条項(SCC)や拘束的企業準則(BCR)なしに移転が可能になりました。

補完的ルール

ただし、日本側は「補完的ルール」に従う必要があります。EEA居住者から取得したデータについては、日本の個人情報保護法に加え、以下の追加保護が必要です。

  • 要配慮個人情報の範囲拡大: 犯罪経歴・労働組合加盟情報等(GDPRの特別カテゴリデータに相当)
  • 匿名加工情報への追加制限
  • 第三者提供の制限の強化: EEA以外の第三国への再移転には本人同意等が必要

この記事に関連する無料ツール

時効計算チェッカー

この記事の分野に関連する無料シミュレーターをお試しください。

無料で試す →

日本企業がGDPRの適用を受けるケース

以下に該当する日本企業はGDPRの適用を受けます(GDPR3条)

  1. EU域内に拠点(事業所)を持つ企業
  2. EU居住者に財・サービスを提供する企業(無償サービス含む)
  3. EU居住者の行動を監視する企業(アクセス解析・行動ターゲティング広告等)

GDPRが求める主な対応

義務内容
プライバシーポリシーの整備処理目的・法的根拠・保存期間等を明示
同意取得明示的・自由な同意の取得
個人の権利対応アクセス・削除・ポータビリティの請求に対応
データ保護責任者(DPO)の選任大規模処理等の場合
EU域内代理人の選任EU外企業でGDPR適用の場合
処理活動の記録250名以上の企業等
データ侵害通知72時間以内に監督機関へ通知

2022年改正個人情報保護法と越境移転

2022年4月施行の改正個人情報保護法では、第三国への個人データの越境移転規制が強化されました(個人情報保護法24条)

個人データを外国の第三者に提供する場合の対応: 1. 本人の同意を取得する(その際、移転先国の制度情報を本人に提供する義務あり) 2. 移転先が基準適合体制(日本と同等の保護水準)を整備している 3. 移転先が十分性認定を受けた国(EU・英国等)

まとめ

日本企業は、EU向けサービスを展開する場合にGDPRの域外適用を受けます。EU-Japan相互十分性認定により基本的な移転は容易になりましたが、補完的ルールの遵守と2022年改正個人情報保護法の越境移転規制への対応は別途必要です。専門家のサポートのもとで対応を整備することを推奨します。

この分野の無料ツール

この記事をシェア
※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

関連記事

個人情報漏洩時の報告義務と対応手順|改正個人情報保護法の実務ガイド

2022年施行の改正個人情報保護法による個人情報漏洩時の報告・通知義務を解説。報告対象となる漏洩の種類、報告期限、PPC報告の手順、被害最小化のための初動対応を説明します。

個人情報保護法の基礎知識|企業が守るべきルールと違反時の罰則

個人情報保護法の基本的なルール、企業に求められる義務、2022年改正のポイント、違反した場合の罰則を分かりやすく解説。データを取り扱うすべての事業者が知るべき内容です。

Cookie規制と同意取得|日本における法的要件と実装方法

日本でのCookie利用に関する法的規制(個人情報保護法・電気通信事業法)と、適切な同意取得の方法を解説。2023年改正電気通信事業法による外部送信規律の実務対応も説明します。

ネット誹謗中傷の発信者情報開示請求|手続きの流れと費用を解説

匿名のネット誹謗中傷に対し、発信者情報開示請求で投稿者を特定する方法を解説。2022年改正法の新制度、手続きの流れ、費用の目安、注意点を弁護士監修なしで条文に基づいて説明します。

リベンジポルノの法的対処法|削除請求と刑事告訴の手続き

リベンジポルノ被害への法的対処法を解説。私事性的画像記録法に基づく削除請求、刑事告訴、損害賠償請求の手続きと相談窓口を説明します。

口コミ削除請求の方法|Googleマップ・食べログ等の悪質レビュー対策

Googleマップや食べログ等の悪質な口コミ・レビューの削除請求方法を解説。名誉毀損・信用毀損に該当する口コミの判断基準、プロバイダ責任制限法に基づく送信防止措置請求、仮処分の手続きを説明します。

関連するQ&A

関連する法律用語

おすすめの関連記事

ネット問題

ネット誹謗中傷の発信者情報開示請求|手続きの流れと費用を解説

匿名のネット誹謗中傷に対し、発信者情報開示請求で投稿者を特定する方法を解説。2022年改正法の新制度、手続きの流れ、費用の目安、注意点を弁護士監修なしで条文に基づいて説明します。

記事を読む
ネット問題

リベンジポルノの法的対処法|削除請求と刑事告訴の手続き

リベンジポルノ被害への法的対処法を解説。私事性的画像記録法に基づく削除請求、刑事告訴、損害賠償請求の手続きと相談窓口を説明します。

記事を読む
ネット問題

口コミ削除請求の方法|Googleマップ・食べログ等の悪質レビュー対策

Googleマップや食べログ等の悪質な口コミ・レビューの削除請求方法を解説。名誉毀損・信用毀損に該当する口コミの判断基準、プロバイダ責任制限法に基づく送信防止措置請求、仮処分の手続きを説明します。

記事を読む
ネット問題

SNS炎上対策|企業・個人が取るべき法的対応と予防策

SNS炎上が発生した場合の法的対応策を解説。名誉毀損・業務妨害に該当するケースの判断基準、発信者情報開示請求、損害賠償請求、予防策としての社内ガイドライン策定について説明します。

記事を読む
ネット問題

ネットストーキング規制法|つきまとい行為の定義と対処法

ストーカー規制法におけるネットストーキングの定義、2021年改正でのGPS・SNS規制追加、警告・禁止命令の手続き、被害者が取るべき対応を解説します。

記事を読む
ネット問題

フィッシング詐欺にあったら|今すぐやるべき3つの対処法

フィッシング詐欺にあったらまず銀行とカード会社に連絡。口座凍結・カード停止で被害を最小限に。重大な過失がなければ補償されます。被害届の出し方、返金までの流れを弁護士が解説。

記事を読む
弁護士監修記事

法律の悩み、まずは専門家に相談を

本記事の情報は一般的な解説です。個別の事情によって結論は変わります。お住まいの地域の弁護士会へ早めにご相談ください。

日弁連 法律相談ガイド