Data Protection

データ保護

複数法域にまたがるデータ保護コンプライアンスを、事業推進と両立する形で設計します。

要点

  • 個人情報保護法(APPI)は概ね3年ごとに改正され、2024-2026年も漏えい報告義務や実効性確保が強化された。最新の報告義務(委員会報告・本人通知の要否と期限)を運用に反映しているかが要点。
  • EU向けにデータを扱う企業は、GDPRと日本のAPPIの二重対応が必要。日本は十分性認定を受けているが、補完的ルールの遵守が前提となる。
  • 越境データ移転には、移転先国の体制・本人同意・基準適合体制のいずれかの根拠が要る。海外クラウドの利用が「外国にある第三者への提供」に当たるケースを見落とさない。
  • データ漏えい時は、個人情報保護委員会への報告(速報・確報)と本人への通知が原則義務。閾値・期限・免除要件を平時に整理し、初動手順に落としておく。
  • プライバシーポリシーは作成して終わりではなく、実際のデータフロー(取得・利用目的・第三者提供・保存期間)と一致していることが法的リスク管理の前提となる。

イントロダクション

データ保護法制は、過去10年で最も急速に進化した法分野の一つです。EUのGDPR(一般データ保護規則、2018年施行)を皮切りに、世界各国で強力な個人データ保護法が相次いで施行され、執行も活発化しています。違反時の制裁金は、GDPRでは全世界年間売上高の4%または2,000万ユーロのいずれか高い方、APPI(日本の個人情報保護法)では2026年改正で1億円以下の法人罰が導入されました。

データ保護法制の難しさは、(1)複数の法域が重複適用される、(2)技術的措置と組織的措置の両方が要求される、(3)違反時のレピュテーション影響が制裁金以上に大きい、という点にあります。多国籍企業、SaaS事業者、ECサイトを運営する企業にとって、データ保護コンプライアンスは事業継続に直結する経営課題です。

対応領域

1. APPI(個人情報保護法)対応 - 2022年改正・2026年改正への対応 - 個人情報保護方針、利用目的、本人同意取得フローの設計 - 漏えい時の個人情報保護委員会への報告・本人通知 - 仮名加工情報・匿名加工情報の活用設計 - 第三者提供・委託先管理の枠組み構築 - 越境移転に関する本人同意・移転先国の保護法制調査

2. GDPR(EU一般データ保護規則)対応 - 法的根拠(同意・契約履行・正当な利益等)の整理 - データ処理記録(ROPA)、DPIA(データ保護影響評価)作成 - データ主体の権利対応(アクセス権、削除権、ポータビリティ権) - DPO(データ保護責任者)選任要否判断、職務支援

3. データ漏えい・インシデント対応 - 漏えい発覚時の初動(72時間以内のGDPR報告対応含む) - フォレンジック調査の指揮、調査会社との連携 - 監督機関への報告書作成・提出 - 本人通知文案、コールセンター対応指針 - 損害賠償交渉、集団訴訟への対応

ご相談の例と、対応の進め方

以下は、想定されるご相談の類型と、当事務所の対応の進め方をお示しするものです。過去の受任実績を示すものではありません。

ご相談の例1: SaaS事業者のGDPR適合化

「日本の個人情報保護法は守っているが、GDPRは未対応」という状態のまま欧州企業との大型契約が視野に入ると、短期間での適合化が必要になります。

このような場面では、(1)現状ギャップ分析(GDPR要件と現状の差分の可視化)、(2)プライバシーポリシー・利用規約の改訂(日英バイリンガル)、(3)データ処理記録(ROPA)の作成、(4)DPIA(データ保護影響評価)の実施、(5)顧客とのDPAテンプレートの整備、(6)社内教育プログラムの設計、をご支援します。

ご相談の例2: 個人情報保護法改正への対応

POSデータ、会員データ、防犯カメラ映像、従業員データなど複数のデータカテゴリを抱える事業者では、法改正を機に社内のデータフローを棚卸しする必要が生じます。

このような場面では、(1)全社データマッピング、(2)利用目的の棚卸しと再整理、(3)同意取得の導線に関する助言、(4)委託先(クラウド事業者、マーケティング会社等)との契約改定、(5)社内規程・マニュアルの改訂、(6)漏えい対応マニュアルの整備、(7)役員・現場社員向け研修、を一体でご支援します。

ご相談の例3: 大規模な個人情報漏えいへの対応

外部からの不正アクセスにより多数の顧客情報が漏えいした場合、社会的な注目度が高く、初動の巧拙がその後を大きく左右します。

このような場面では、(1)発覚直後の初動指揮(証拠保全、原因調査会社の選定)、(2)個人情報保護委員会への速報、(3)本人通知の文案・FAQ・問い合わせ窓口の対応方針、(4)プレスリリースおよびWebサイト掲載文の作成、(5)警察への被害届提出の支援、(6)取引先への報告、(7)損害賠償請求や集団訴訟への備え、(8)再発防止策の設計、をご支援します。

ご依頼の流れ

  1. 初回相談(30分無料/オンライン可): 現状と課題を伺い、論点を整理します。
  2. 見積・提案: スコープとタイムラインをご提示。プロジェクト型/顧問型のいずれにも対応します。
  3. 着手・進捗共有: マイルストーンごとに進捗を報告し、社内承認プロセスとも連携します。
  4. 完了・アフターフォロー: 法改正・執行動向のアップデート、定期的なレビューも継続支援可能です。

お問い合わせ

データ保護分野でのご相談は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。緊急の漏えい対応については、その旨明記いただければ優先対応します。

よくあるご質問

Q.当社は日本国内のサービスのみですが、GDPR対応は必要ですか。
(1)EU所在のユーザーに意図的にサービス提供している、(2)EU所在のユーザーの行動を監視している、いずれかに該当すればGDPRが域外適用されます。「日本語サイトのみだが欧州在住日本人ユーザーがいる」程度では原則対象外ですが、多言語対応・EU向け広告の有無等を個別判断します。
Q.プライバシーポリシーは雛形を真似て作っても良いですか。
法的に最低限の項目を満たすことは可能ですが、(1)実態と齟齬があると違法、(2)海外規制(GDPR等)への対応が不十分、(3)サービス特性に応じたリスク開示が漏れる、というリスクがあります。事業特性に合わせたカスタマイズが必須です。
Q.個人情報の漏えいが発覚した場合、いつまでに何をすべきですか。
APPIでは「速やかに」の速報報告と「概ね30日以内」の確報報告、本人通知も「速やかに」必要です。GDPR域内事案では「72時間以内」の監督機関報告が義務です。最初の24時間が極めて重要で、当事務所では緊急対応も可能です。
Q.クラウドサービスを利用する場合、データ越境移転として規制対象になりますか。
データの物理的保管場所が国外にある場合、原則として越境移転に該当します。本人同意、APPIに基づく相当措置、相手国の認定(現状EU・英国のみ)のいずれかが必要です。クラウドサービス利用時は、ベンダーのデータ保管リージョン選択が重要です。
Q.Cookieバナーは必ず設置すべきですか。
EU向けサービスではePrivacy指令により事前同意(オプトイン)が必須です。日本の改正APPIでも、Cookieを介した個人関連情報の第三者提供には「同意取得確認」義務が課されています。実務上、グローバル展開する企業はCookieバナー設置が標準です。
Q.DPO(データ保護責任者)は必ず選任しなければなりませんか。
GDPRでは(1)公的機関、(2)大規模・体系的な監視を行う組織、(3)機微データを大規模処理する組織、で選任義務があります。義務がない場合でも、ガバナンス強化のため任意選任する企業も増えています。当事務所ではアウトソースDPOサービスも提供可能です。
Q.米国カリフォルニア州に進出する際、CCPA/CPRA対応で何が必要ですか。
(1)Privacy Notice の整備(カリフォルニア住民向けの追加開示)、(2)「Do Not Sell or Share My Personal Information」リンクの設置、(3)消費者の権利(知る権利、削除権、訂正権、オプトアウト権)への対応フロー、(4)機微情報の処理制限、(5)第三者へのデータ販売・共有の管理、が中心論点です。
Q.中国にデータを送る場合、特別な規制はありますか。
中国PIPL(個人情報保護法)第三章により、(1)中国国内での安全評価申告、(2)標準契約条項の締結、(3)個人情報保護認証の取得、いずれかが必要です。重要データの場合は、中国データ安全法・サイバーセキュリティ法も併せて検討が必要です。
Q.社内のデータ保護研修は、どの程度の頻度・内容が望ましいですか。
全社員向けに年1回(基礎)、データを多く扱う部門には年2回(応用+実例)、管理職向けには漏えい時の対応訓練、が標準的です。eラーニング+集合研修のハイブリッドが有効です。
Q.データ保護コンプライアンスは、どこから手をつければ良いですか。
(1)データマッピング(何のデータを、どこから集め、どこに保管し、誰に渡しているか)から始めます。これがすべての基礎になります。次に、(2)該当法域の特定、(3)ギャップ分析、(4)優先順位付けと改善計画、というステップで進めます。
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